ノーリスクで投資が出来れば最高。誰もがそう思う。だがリスクなしの投資商品は絶対にない。リターンの可能性があれば当然そこにはリスクが同時に存在することとなる。
「絶対儲かる」「リスクはない」という文言で投資勧誘をする法律で禁止されているほどだ。
絶対に儲かる株を探す人も多かろう。しかしそんなものはないと思った方がいい。
リスクなしに大儲けするなどという都合の良い話が仮にあったとしても我々のような一般人が知れる機会はない。株で負け続けると臆病風に吹かれることも多いだろう。
しかしそんな時こそリスクを取る勇気、負ける覚悟が必要なのだ。
詳しく解説していく。
逆張り時に見るリスク回避行動の流れ
株価の動きを例にしてリスク回避行動について説明したい。
2.2020円まで反発
3.2000円まで下落
4.2015円まで反発
5.2000円まで下落
6.2010円まで反発
7.2000円まで下落
少々見にくいが、1回読んでもらえばどのような状況か掴めるはずだ。
この流れは珍しいものではなく、2000円という節目の攻防としてよくある光景だ。
リスク回避型というのは5番、もしくは7番で買う傾向が強い。
これは2回、3回と2000円を底にして反発していることから底固めをしたと考えるためだろう。また、それまでに買わないのは2000円の底抜けを恐れるからだ。
謝った認識
確かに上記流れは慎重に2000円が底として強く作用するか見極めているように見える。
しかし2番、4番、6番と徐々に反発の幅も小さくなっていることがわかる。
これは2000円が底となっているものの、買い意識も徐々に弱まっているからだ。
底固めで買い意識が強まっているわけではなく、2000円という節目を使ったリバウンド取りの動きが出ているだけという考え方も出来る。そして徐々に参加者が減っているところだ。
言わば底抜けリスクは徐々に高まっている。
「何度もアタックされながら底抜けしないから強い」
という認識はかなり危険と言えよう。
リスクを避けようとして最大のリスクを選択する
株価に対する解説というのはチャートを見ながらの後検証で行われる。よって悪意を持って見れば全てが結果論を語っているようにしか見えないだろう。
上記例も7番が最大のリスクであり、リスクを避けようと何度も2000円が底になることを確認した人が最大のリスクを取らされることになるという流れはこじつけにも見えよう。
株に正解はなく、株に絶対はない。
ゆえに数回程度の検証で言えば7番は安全だという結果も出るかも知れない。
しかし長い目で見ていけばやはりこれは間違っている。
1番、3番、5番、7番のリスクについて見ていきたい。
1番に潜むリスクとリターンの関係
1番には確かに大きなリスクがある。それは悪材料が出ている可能性だ。
ザラ場中でも悪材料などIR、ニュースが出る時がある。大きな急落があった時のほんの数%だろうが、気付かずに買ってしまえば大きな損失となってしまうだろう。
しかしそれ以外は大したリスクなどない。
「一気に2000円を割ったら?」
という考え方もあるが、それはそれでも問題はない。
逆張りであれば高いところから短い時間で落ちてきた方が戻りの確率も戻り値幅も大きくなるのは常識だ。1980円くらいまでオーバーシュートしたところであっさりと戻す可能性が高い。
悪材料に気付かないで買ってしまった場合のリスクは極大であるが、気を付けてさえいればこれは避けられる。そしてその極大リスクがある1番は最もリターンが大きくなる。
まさにハイリスクハイリターンのポイントだ。
ただ、ここでもう1つ注目して欲しいことがある。
確かに極大リスクはあるのだが、それは避けられるリスクであり、その他のリスクがほとんど見当たらない。ならば使い方によっては最もローリスクな場所にも見えてくる。
ローリスクハイリターンというワガママを通したい人は1番で買う勇気を持つことだ。
3番以降のリスクとリターン
3番は二番底を試す展開だ。先ほど反発した2000円が本当に底になるか試しに行き、再度反発を確認して買おうとする動きとなる。これは定番とも言える買い方だ。
しかし上からの急落ではないため、一気に反発する可能性は薄い。
ただし2000円を割っても1回は回復する可能性が高い。
ここはローリスクローリターンとなる場所だ。
2000円が底であると明確に判断が出来ないと大きな買いが入る期待は出来ない。
ある程度の値幅を取りに行く場合、やや時間軸を長めにして待つ必要がある。
それは同時に4番で再度下落する場合にお付き合いするという覚悟がなければ出来ないことだ。
定番の買い場であると同時に、リカクのタイミングがかなり悩ましいポイントだ。
5番、7番になると三番底、四番底を形成する形になる反面、反発も大きくないと市場が意識し始めているため、大きな戻りもなく、いわゆるヨコヨコというチャートになりやすい。
それでいて2000円を割ると底抜け扱いとなり、戻ってこないリスクが高い。
実際には取れても微々たる金額で、底抜けしてしまえば大きな損失となるハイリスクローリターンな場所となってしまう。リスクを避けよう避けようという行動が自然と最もリスキーなポイントでの買いを誘発してしまうのだから皮肉なものだ。
リスクとリターンは本来等価である場合が多い。
しかし1番はローリスクハイリターン、5、7番はハイリスクローリターンというように、法則が崩れるポイントがある。いかに有利なポイントで勝負するかが大切になってくる。
慎重になり過ぎる結果としてハイリスクになるパターンは他にもある。
注意して欲しい。
順張りに見るリスク回避行動の流れ
次は上昇銘柄の例で考えてみよう。
2.1480~1490円あたりで揉み合い
3.1520円まで上昇
4.1505~1520円あたりで揉み合い
5.1550円まで上昇
6.1535~1550円あたりで揉み合い
1番はぴょっこりと上昇の初動らしき動きだ。そして2番で一時休み。
揉み合い後に上抜けてまた休み、再度上昇という理想的な上昇となる。
この理想的な流れで最もリスクとリターンがトレーダー有利となるのはどこになるかおわかりだろうか。そして5番、6番で買ってしまうのはどんなタイプなのだろうか。
最も有利な買い位置とは
1、2番が最も有利な位置となる。上記流れによる結果論の話ではない。
1470円だった株価が上昇の怪しい動きを見せた。仮に騙し上げだったとしても1470円に行って来いとなるだけであり、一気にオーバーキルの動きになる危険性は極めて低い。
ならばリスクも10~20円幅で済み、リターンは青天井だ。
典型的ローリスクハイリターンのポイントとなる。
ただし気を付けねばならないのは勝率だ。ここで買った時の勝率はお世辞にも高いと言えない。ローリスクなポイントだが連敗連敗と重なっていけば厳しくもなる。
板状況やチャート、雰囲気などを加味して買う必要がある。
リスク回避の行動
リスク回避型は当然ここを見に徹して判断を先送りにする。
その後3番の位置まで上昇した時に後悔はするものの、飛び付いたりはしない。4番の揉み合いを見て飛び付かなくて良かったと安堵することだろう。
この4番の押し目で買っておけばまだリスクとリターンのバランスはちょうどいい。
5番まで上昇してしまっては当然リスクの方が大きくなり、もう新規買い出来る位置ではない。ここで買ってしまえばジャンピングキャッチになる可能性は非常に高い。
株を始めてすぐの頃、こういう買い方で何度失敗したことだろうか。
しかしここでリスク回避型はおかしな思考に流れることがある。
「これだけ警戒していても落ちずに上昇するのだから本物の強さがある」
客観的に見れば本当におかしな思考だが、実際にザラ場を見ていると不思議とこの感情がどんどん領域を広げてくる。恐らく1番の時から注目していることも要因だろう。
せっかく見つけたチャンスを何もせず終わりたくないのだ。
・3~4番・・・本物の雰囲気を感じつつも1~2番で買えなかった後悔との狭間で揺れ、なかなか決断が出来ない
・5~6番・・・もう落ちてくる気がしないくらい強いから買って大丈夫
見事なまでにカモとなる流れだ。
負ける勇気と覚悟の大切さ
リスクを避けようとする行動は決して間違いというわけではない。しかしメンタルも絡むことでいつの間にか最もリスキーなところへ誘導されてしまうケースも少なくない。
逆張りで見ても順張りで見ても1番最初が最もリスクがあるように見えるが、どちらも実際にはローリスクハイリターンのポイントなっていることがわかる。
最初の動き、初動において動くことは非常に勇気がいる。
これはイナゴトレードや無料情報サイトにおいても同じことが言える。
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いくら買った方がいい、買うべきだと思っても「いや、待てよ」と心のストップがかかる。
この心のマッタを無視するには負ける覚悟が必要となる。
初動で動くには負ける勇気と覚悟の両方が必要なのだ。
理屈でわかっていてもなかなか出来ることではない。
リターンを求めるならリスクを積極的に取る
ここまで書いてきた流れはもちろん例であり、毎回そうなるという話ではない。
だがリスクを避けよう避けようとすることでリスクに魅入られてしまうという流れは決して株、デイトレに限った話ではないこと、少し考えれば納得してもらえることだろう。
リスクなくしてリターンなし。
最初のリスクを積極的に取りに行ってこそ最も大きなリターンにつながるのだ。
雰囲気という抽象的な表現はあまり歓迎されないだろうが、株で勝つためには雰囲気というのもかなり重要なポイントとなる。雰囲気は経験で読めるようになる。
雰囲気が読めるようになればリスクを取りに行く勇気と覚悟の後押しにもなる。
紙一重の勝負でギリギリ上回るためにも雰囲気を読めるようになる必要があるだろう。
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いずれにしても練習、そして努力あるのみだ。
出来ることは時間を惜しまず挑戦していこう。
まとめ
筆者自身もリスク回避型であり、いつの間にかハイリスクな状況に誘導されていることが多かった。そこで冷静にデータを取り、自分の行動パターンを分析することでこのことがわかったのだ。
データはいつの時も冷静に自己分析をしてくれる。
株の世界に100%はないが、少しでも確率を高めた者が勝ち組となる世界だ。
まずはリスク回避の行動を否定的な目線で見るところから始めてみて欲しい。
きっと見えてくるものがあるはずだ。