デイトレードとは紙一重の勝負の連続|株取引の仕組みを考える

勝ち組デイトレーダーと負け組デイトレーダー、いや、デイトレに限らず株のトレーダーにおいて勝ち組と負け組の違いはどこにあるか考えたことはあるだろうか。

当サイトでも勝てる人と勝てない人の特徴について取り上げたことがある。

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確かに人に着目してしまえば努力の差は結果においても大きな差となって現れる。

しかし1つ1つの勝負においては紙一重の攻防が繰り広げられているのだ。実際に勝った人と負けた人の取引にそこまで大きな差などない。

だが毎回のように相手を上回る人もいれば、毎回のように紙一重で涙を呑む人もいる。

株取引の仕組みを踏まえ、デイトレとはどういうものなのか考えることでこの紙一重の勝負の謎に迫っていく。デイトレで悩みを抱えている人は是非最後までお付き合いいただきたい。

株取引の仕組みとは

需要供給曲線という言葉を聞いたこと、そしてそのグラフを見たことはあるだろうか。

これだ。筆者は経済学部出身であるが、大学在籍時にこの曲線を見てもピンとくるものがなかった。しかし株式市場に足を踏み入れて以降、この曲線の持つ意味が痛いほどよくわかる。

株取引というのはこの需要供給曲線で成り立っている。

買い板と売り板の数量が一致する価格で寄り付き値が決定され、その後も双方の希望が合致した価格で取引が行われる。均衡が崩れ、片方が多くなることで値上がり、値下がりとなる。

株価の値上がりと値下がり

場面場面を想像しながらこのグラフをシフトさせてみると非常に面白い。

供給量が増えれば均衡点は右にシフトして値下がりするのが通常であるが、いくら増えようとも、需要がさらに膨れ上がればグラフが上にシフトし、値上がりする。

テーマ株や仕手株はこの手の流れが作られやすい。

そして不人気株では供給量が減り、左にシフトするものの需要もなくなり、下方へのシフトが止まらなくなり値下がりが続く傾向にある。

きちんと考えて眺めると非常に美しいグラフとなっている。

デイトレとは

デイトレードというのは非常に短い時間軸で勝負が決する。

どんなに長くとも朝の寄り付きで買って、大引けで売る手法となる。

だがそれはデイトレーダーにとって非常に稀であり、多くのデイトレーダーは数分~数十分という時間軸の中で決する勝負を繰り返し行っている。1日に100回以上トレードする人もいる。

さて、そんな彼らはどのような考えの基でトレードをしているのだろうか。

厳密に言えば上記のような需要供給曲線をしっかり書いて考え、トレードをするような人はほとんどいないだろう。筆者もデイトレ中に需要曲線を描くことはない。

しかし頭の中では常にこの理論を使っているものと考えられる。

安く買って高く売る

これは何もデイトレードに限ったことではない。スイングトレードだろうと中長期投資だろうと同じだ。そしてこの考え方は株式投資に限ったことでもない。

セドリや転売ヤーと呼ばれるような稼ぎ方をしている人も同じである。

実際の商業施設も実はこれと変わらない。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも安く仕入れたものを高く顧客に売るのだ。小売り店であればこの連続で利益を積み重ねていくことになる。

賞味期限が近付けば値下げをしてでも薄利でリカクをしようとするはずだ。

デイトレ、株式投資もこの理屈で利益を出すことになる。

高く買ってより高く売る

こちらは需要供給曲線が右上に向かっていくイメージの話だ。

いくら高いと思っても、まだまだ上があると思えば買うだろう。

さらに高く売れればいいだけの話だ。

売値-買値=プラスであれば利益であり、それが見込めるのであれば買わない理由はない。では勝ち組デイトレーダーは買った時点で勝ちを確信出来るような取引をしているのだろうか。

答えはNOだ。

それくらいの自信が持てるトレードは1日に1回あればいい方だろう。

プロトレーダーであっても疑心暗鬼の中、暗中模索で買いを入れるケースは多い。

デイトレードのコツとは

先述のようにデイトレーダーは需要供給曲線を描かないまでも、この理屈は脳内で使っている。

自分の理論株価と実際の株価というのはもちろん常に一致するわけではない。

ただ、それでもそこに大きな開きがあり、実際の株価がかなり低く感じたらそこに買いを入れるだろう。そしてその開きが収束したところで売れば利益になるはずだ。

逆に思ったよりも高い株価で推移している場合は空売りで利益を狙う人もいる。

このように自分の持つ感覚と実際の株価に開きが生じた時、需要供給曲線には歪みが生じることになる。この歪みは多くの場合、そこまで時間をかけずに戻りを見せる。

時に戻らず、とんでもない開きになってしまうことがあるが、その場合はコツコツドカンのドカン負けにつながってしまうデイトレーダーが多発することになる。

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時々起こる事故のような負け方は言わばもらい事故のようなものと考えた方がいい。

ただ、この歪みを使っても勝率が悪いようであればそれは自分の感覚の方が間違っていると考えるのが妥当だ。様々な銘柄の価格推移を見て経験を積むことが最優先となる。

経験を積むことでどんな時に歪みが生じやすいか、その歪みが戻るまでの速度、戻る確率などを学ぶことで精度はいくらでも高めることが出来る。

デイトレーダーの勝負は紙一重

いよいよ本題だ。何も勝負が紙一重である事実だけを知ってもらいたいわけではない。

勝負が紙一重であるということを納得いただけたら次のように考えていただきたいのだ。

・デイトレで勝っている人も今後ずっと安泰というわけではない
・デイトレで負けている人も全くダメというわけではない

実際にこの紙は分厚い可能性が高い。下から破るにしても相当な努力が必要になろう。しかし勝負自体が紙一重であることを理解する意味は大きいはずだ。

ではまずデイトレの流れを考えてみよう。

それぞれに基準の違いはあれど、理論株価との歪みを感じることでその銘柄に興味を持つのがスタート地点だ。そしてそこから買い、売りと2つの工程を行う。

1.上の売り板にぶつけて買う(成行買いも視野)
2.現値付近で指値買い
3.もう少し下に指値を入れて待つ
1.下の買い板にぶつけて売る(成行売りも視野)
2.現値付近で指値売り
3.もう少し上に指値を入れて待つ

このパターンの組み合わせしかない。仮に買いでミスをしても売りでミスをしなければなかなか大負けにはつながらない。また、買いで3番を選択した場合に正解が1or2だった場合も機会損失でしかなく、実損にはつながらない。

これらを踏まえて考えるとやはり大損する時は売値を決める時のミスに起因する可能性が高い。

そしてこの売値こそ紙一重の勝負になるのだ。

主観と大衆心理

「あと少し。あと少しで売れる。あと少しで助かる」

含み損に苦しんでお祈り投資をしている時、ナンピンをして思わぬ大勝負になってしまっている時など、自分の損失が消える位置に売り指値を入れてこのように心で叫ぶことが多い。

そんな中で無情な結末もまた多い。

「あと1ティックだったのに・・・」「同値まできて順番待ちだったのに・・・」

このように嘆いた経験も多いことだろう。

これはつまり紙一重で売れなかったことを意味する。そしてまた紙一重で助かった者がいることも意味するのだ。ここはとても重要なポイントになる。

デイトレで勝てないと悩んでいる人の中には、買値に問題がない人も多い。

ジャンピングキャッチなどでの負けを経て、懲りて以降は買いたい価格まで待って買うことが出来るようになるからだ。しかしそれでも勝てない要因は売る時の紙たった1枚だ。

自分が買った価格を自分だけがチャンスと感じたと思わないで欲しい。

ナンピンして平均単価を下げたのが自分だけだと思わないで欲しい。

実は大衆心理もほぼ同じ位置にあるからだ。

平均購入単価も売りたい価格帯も同じ

専業デイトレーダーと呼ばれる人は少なくなったものの、兼業デイトレーダーはまだまだ多い。自分がチャンスと思って買う時、同じくチャンスと思って買った人も必ずいる。

そしてピンチになった時、同じようにナンピンに頼った人も必ずいる。

そうやって助かるために売りたい価格帯は皆似たり寄ったりとなる。

あと少し、あと1ティック、順番待ちと思いながらもそこから無慈悲な急落に見舞われるのはこういう理由なのだ。その雰囲気を察知した勝ち組が先に微損撤退を決断しているのだ。

あと少しと思って見守っていたものの、売りが出てしまった時、一気に売り込まれ、絶望となるケースが多くないだろうか。

それもまた同じようにあと少しと思いながら見守っていた人が多かった証拠だ。悪く言えば裏切りのロスカットが出て、それを契機に見守り隊からロスカットが連鎖するのだ。

最初に逃げた人と逃げ遅れた人との差はかなり大きくなる。

売れるか売れないかはまさに紙一重なのだと納得していただけるだろう。

損失のコントールが出来るかどうか

アベノミクスバブルとなった2013年、多くの勝ち組トレーダー、多くの億り人が生まれた。

突然とてつもなく上手なトレーダーが増えたのだろうか。突然多くのトレーダーが成長し、勝てるようになったのだろうか。そんなわけがない。相場が単純に味方したのだ。

これに乗れるかどうかの勇気や運ももちろん実力の内だ。

だから彼らが上手であったというのももちろん事実だ。

しかし当時は買値でミスをして含み損になっていてもすぐに上昇があって簡単に助かった。

むしろ含み損にさせられた方がナンピンで枚数を増やせるため、大きな利益につながるケースが多かった。どんなに値下がりしても気付けばプラスになることも多かったのだ。

言ってしまえば甘い相場、大甘な相場だ。

このような環境であれば上手なトレーダーだけでなく、怖いもの知らずの初心者や、今まで損をしていた人たちも皆あっさりと大きな利益を出す可能性が高い。

むしろ警戒心が薄い分、上級者よりも大きな利益を出すかも知れない。

何が言いたいか。

地合いが良ければ、好調期であれば誰でも勝てるということだ。

それぞれ得意な銘柄や地合いは違うだろうが、自分に合った値動きが多くなれば勝つことは難しくない。株で悩んでいる人も全く勝てないで悩んでいるわけではないはずだ。

・勝つ日はあっても負ける日の額が多い
・勝てる日はあっても負ける日の方が多い

このような悩み方が主と思われる。

勝てる日の悩み、勝っている時の流れというのは勝ち組トレーダーも負け組トレーダーも変わらない。淡々と利益を出し、おいしい物を食べて明日に備えるだけだ。

勝ち組と負け組の大きな差は不調期にある。

負けを減らすことで勝ちへつなげる

1.1200円で500株購入
2.1160円で500株ナンピン買い
3.1175円前後で500株売り

正しいナンピン手法の記事でも書いた部分になる。

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1200円で自分が買いだと思ったのであれば、同じく経験上チャンスと思った買った人は多いだろう。1160円に下落した時、同じく損失回避を狙ってナンピンした人も多いだろう。

すると平均取得単価となる1180円あたりでの売り待ちが多くなる。

今まで負けていた人は1181~1183円あたりで1000株売ろうとしていたのではなかろうか。買値撤退はおろか、少しでも利益にしようと欲を出す人は多い。

このパターンは1177~1179円あたりで急激に売りが出るケースが多い。ただしそこで出る売りをこなすと一気に1200円奪還も見えてくるほどの買いも見られる。

つまり1180円からやや上のあたりは最も売りを入れてはいけないポイントとなる。

売りが多く出る1180円より手前で売ることが大切となる。1000株売れればいいが、ロスカット出来ない病に悩む人からすれば土台無理な話だ。まずは「リカク」しよう。

1175円で500株売れば1160円で買った分はリカクなのだ。

平均単価を気にしてしまうと売れなくなるが、分離して考えれば売れるだろう。

ここで売っておくことで肩の力が抜け、残る500株も執着せずにロスカットが出来るようになる可能性もある。仮に下がったとしても損失額は大幅に抑えることが出来るだろう。

最初から全てを売ることは難しいため、このような練習をすることがオススメだ。

株の成績で悩んでいる人全てに伝えたい。

勝つためには勝ち額を増やすだけが道ではない。リカク額をそのままにロスカット額、ロスカット率を減らすことで勝ちにつなげる道の方がはるかに現実的なのだ。

買いをいつも通りに行い、売る時に紙一重で上回ることを意識して挑戦してみて欲しい。

まとめ

デイトレで勝っている人は常に自分を疑い続けることで努力を重ね、勝ち続けられている。負けている人はそれを上回る努力をし、得た知識を実行する精神力を身に付ける必要がある。

他人に頼るのではなく、自分で動き、学ぶのだ。

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紙一重というのは大部分がメンタルなのだろう。

複雑に考えるのではなく、1つ1つシンプルにステップアップしていくことを心掛けて欲しい。

参考までに筆者が登録している投資顧問無料メルマガの中でもよく使う2サイトを掲載しておく。無料銘柄だけでなく、相場概要についても無料で配信されるので重宝している。

また、株の学校というサイトがトレードスキル向上のための無料メルマガを開始した。こちらはデイトレ、スイングどちらも参考になるはずだ。

しかしメール数が多く来るため、プライベートメールで登録するのはオススメしない。

無料メルマガ専用のアドレスを作っておくのがいいだろう。

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どちらもフリーメールで登録出来、個人情報を入れる必要もないのが嬉しいところだ。