正しいナンピン手法の使い方とは|本質を理解して損失回避につなげる

ナンピンという言葉を聞いたことがあるだろう。下手なナンピン素寒貧などという格言もあるほど危険を含んだ手法である。しかしそれでもナンピンをする人は多い。

ナンピンには危険と同時に多くの魅力も含まれているのだ。

特にデイトレードにおいて活躍の場が多いこのナンピン。使い方を誤ると一発退場まで見えてくるが、正しく使うことで損失回避行動につなげることも可能だ。

本記事ではナンピンの使い方について解説していく。

ナンピンと買い増しの違いとは

どちらも持っている株数を増やす買いという点では全く同じだ。ただし買い増しは購入単価より上でも下でも行うが、ナンピン手法は購入単価を下回った状態で買い増すことだ。

それ以上に両者には決定的な違いがある。

・買い増し・・・将来的な値上がりを見込んでいるため、利益を大きくする目的で行う
・ナンピン・・・損失が膨らみ、苦しい中でなんとかしたい気持ちで行う

攻めの姿勢で行う買い増しに対して、ナンピンはその場しのぎというイメージが強い。

実際に自分がナンピンする時の気持ちを思い出してみて欲しい。

「まずい」「やばい」という気持ちがほとんどではないだろうか。

ナンピンをした時の意味を理解する

ナンピンという手法がただ単純に平均単価を下げるためのものだと思わない方がいい。

ナンピンをするということはその価格において2倍、4倍ものロットで購入するのと同様の意味となる。これだけでは何が何だか伝わらないと思うので、例を使って説明したい。

1.2000円で500株購入する
2.1960円で500株ナンピンする
3.1940円で1000株ナンピンする

1.2の流れで平均購入単価は1980円となり、所持数は1000株となる。

さらに3番まで進めば平均購入単価は1960円まで下げられるが、所持株は2000株だ。

元々100万円分程度のロットでトレードをしていた人からすると完全にロットがキャパオーバーとなり、冷静でいることが難しい水準になっていることが予想される。

ホールドという行為と買う行為

少々ややこしい話になるが、2番の時点で売らずにホールドを選ぶということは、1960円で買う価値があるという判断と同じ意味を持つ。

そして2番のように500株のナンピンをするということは、1960円でいつもの2倍ロットである約200万円分購入する自信があるという意味と同じだ。

当然3番で1000株ナンピンするのであれば1940円で2000株、つまり約400万円分買ってもいいという自信を持っていなければならない。

よく考えてみて欲しい。

2番の時点ですでに2万円の含み損が出来ている。

1960円まで落ちているこの株を欲しいと思えるかよく考えるのだ。「普段なら買わない」と思うのであればロスカットすべきタイミングとなる。不確定要素が強いからだ。

チャンスと思うから買いと考えるのであればホールドだ。

1960円の時点で発生している含み損を相場に押し付けてはいけない。

あくまで含み損というのは自分の個人的な都合である。

この含み損を抜きにして考えても買うべきだと思うのであれば、すでに500株持っているのだからホールドするだけで買うのと同じ意味を持つ。それでいいのだ。

最後はナンピンだ。究極のチャンスであり、いつもの2倍ロットで買うべきだと考えるのであればナンピン手法の発動が正当化される。

500株追加することで現状は1960円で1000株保有という形となる。

ナンピンをすることで平均単価は1980円まで落ちるが、含み損が減るわけではない。

ノーポジだったとして、1960円で1000株、いつもの2倍も買うほどチャンスと言えるのかどうか、脳内会議をきちんとすべきところだ。

ややこしい部分も多いが、これがナンピンという行為の正しい考え方だ。

闇雲に勢いでナンピンをしている人はとても多い。

どれほどリスクを拡大する行為なのかよく理解しておこう。

なぜ反射的にナンピンをしてしまうのか

『プロスペクト理論』

これに尽きる。損失回避の法則と呼ばれるものだが、ナンピンは人間の本能であるこの理論をそのまま現した行動なのだ。その場しのぎでもなんとかしたいという気持ちだ。

10万円の利益を20万円にするためのリスクを嫌う人は多い。確実な利益を選びやすいのだ。

これはリカクが早過ぎると悩む人が多い理由とも重なる。

だが、10万円の借金がチャラになる可能性がある場合、人間は積極的にリスクを取りに行く。例えその結果として借金が20万円になる可能性があったとしてもだ。

ネガティブ思考の人間もなぜかこの時だけプラスに考えやすい。

不思議なものだが、人間の本能はこのように出来ている。

だからこそ「反射的」にナンピンをしてしまうのはある意味で当然なのだ。

少しでも反射的に出ないようにするためには先述したナンピンの本当の意味を冷静な時に頭に叩き込んでおくのがいいだろう。本能を抑えるには十重二十重に張り巡らせた理屈を用意するしかない。

プロスペクト理論はコツコツドカンにもつながっていく。

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ナンピンを繰り返す理由とは

いくら本能だと言っても、それだけではないだろう。これほどまでにナンピンで大損を繰り返す人が減らないのは他に理由があるはずだ。その中身は驚くほど簡単にわかった。

それは数少ない成功体験だ。

株で大損する人の特徴もこの成功体験が邪魔をするということだった。

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これをナンピンに当てはめるとこうなる。

1.2400円で400株購入
2.2340円で400株購入(平均単価2370円で800株保有となる)
3.直後に2400円を超えるほどの大きな上昇

2番でナンピンする時の気持ちはなんとかして助かりたい、助けて欲しいというものだろう。

そんな中で1番の買値さえ超えるほどの上昇があれば思わぬ大きな利益に化ける。

大損を覚悟していたのに、気付けばいつもの数倍の利益だ。

ロットが跳ね上がっている分、利益の増加速度も速い。

これは大成功例だが、平均単価である2370円を超えて助かる確率というのは実はそんなに低くない。ナンピンをする人の成功率、そして勝率は意外かも知れないがかなり高い。

「今回だけは助けて欲しい」という気持ちでお祈り投資をしていたはずが、こういう成功体験を繰り返すことで毎回助かるのではないかと錯覚してしまう。

「あと一回、今回までは助けて欲しい」と泣きの一回が無限に繰り返される。

ナンピンは一度の失敗が大打撃

ナンピンを駆使することで助かる確率は上がるものの、もしもそのままナンピン分を巻き込んで下落してしまえばとんでもない大打撃につながる。

なぜならこのようなナンピンをする人は2番以降に値下がりを続ければ必ずまたナンピンをする。行くところまで行く。無限ナンピンへの突入だ。退路はない。

気付けばいつもの10倍ロットになっている可能性もある。

そしてそのまま下落すれば含み損の拡大速度も10倍。

手に汗どころか全身に冷や汗、脂汗という経験をしたこともあるだろう。

仮に10回助かろうが、次の1回でこの流れになってしまえば何の意味もない。

無計画なナンピンは絶対にしてはいけないのだ。

ナンピン手法は悪なのか

断言するが、決して悪ではない。

ナンピンで大損をしてしまう人は正しいやり方が出来ていない可能性が高い。

ナンピンを損失回避行動として取っている人は確かに危険だ。

筆者のオススメはナンピンを損失緩和行動として行うことだ。

上記ナンピンの成功例2番の時点を考えて欲しい。平均単価2370円で800株保有だ。

ここで損失回避行動を取る人は2370円以上で全て売ろうとする。この行動が何を意味するかもう一度よく考えて欲しいのだ。明らかに最初の買値を見誤っている。

そのミスを帳消しにしたくて反射的とも言える形のナンピンをした。

それなのに利益にしてしまおうという考え方だ。

どれほど強欲でワガママなのか。

少し考えただけでもとんでもないワガママっぷりがわかるだろう。

それにこのタイプは自分の売り指値が近付いてきたらすぐに上に指値をずらす。特にロットが上がっている状況だと欲に目がくらんでいつの間にか損失回避の行動からかけ離れていく。

これではいつかどこかで一発退場クラスの負けになるわけだ。

損失緩和行動としてのナンピン

筆者の提案する損失緩和行動のナンピンはこうだ。

2370円より手前、大体2355~2365円くらいでナンピン分だけでもリカクしてしまう。つまり平均単価まで戻らずともいったんロット数を元の状態に戻しましょうということだ。

良くも悪くも自分は一般人なのだと強く思えばいい。

つまり同じようなミスで含み損に苦しんでいる人は多いはずだ。

ならば2370円あたりには売りたい層が集まっている可能性も高い。そこでその前に売ってロットを落とすことが大事になる。そうすることでナンピン分のリカクは完了する。

ロットはいつも通りとなるため、壊滅リスクは一気に軽減される。

再度ナンピンを入れる余力も回復する。

また、2370円の売りが多くなるであろうポイントを抜ければ一気に2380円、2390円と回復する可能性も高く、そこで残りも売れば損失回避行動にもつながる。

反射的ナンピンと計画的ナンピン

反射的に行ったナンピンは「した」というより「させられた」と考えるべきだろう。

そしてナンピンをさせられた時点で利益の可能性を捨てる。

難しいが、これが出来るだけでデイトレードの力は格段に上がる。

スイングトレードにおけるナンピンはこの限りではないが、デイトレに関して言えばこの決断が出来る人間はほぼ間違いなく勝つ才能を有していると言える。

望まぬナンピンという望まぬ展開から利益につなげようなどと思わないことだ。

また、反射的なナンピンと違い、計画的にナンピンを使うことで利益を出すプロトレーダーもいる。計画的に行った時点でナンピンというより買い増しという表現の方が適切か。

打診買いから始め、上がっても良し、下がっても良しという状況を意図的に作るのだ。

これは精神的にも成長し、金銭的にも余裕がある状況にならないとなかなか難しい。だが上級者は意外とナンピンを好んで使っていることも事実だと覚えておこう。

控えるべきナンピンの種類

株の世界ではどんなに愚かしいように見える手法や考え方でも時に大きな利益につながる。

よって絶対にやってはいけないという言い方はなかなか出来ない。

実際には長い目で見て絶対にやってはいけないレベルのナンピンの種類だと考えるが、控えるべきナンピンという緩和した言い方にて紹介したいと思う。

・買値と近い位置での強引なナンピン
・計画を途中で変更すること
・冷静でいられないロット数
・逆転で勝とうという考え方

買値からまだ大して下がっていないのにナンピンをする行為は平均単価を下げることにつながらない。上昇の気配を感じ取っているなら買い増しとして問題はない。

だが動きの鈍さにしびれを切らして強引にナンピンなどしないことだ。

また、計画的にナンピンをしようとしていたところ、どうしても損失回避の思いが強く、ナンピンの買い指値を上にずらしてしまいたくなることがあるだろう。

これで元々の位置まで下落があれば、そこで2回目のナンピンをする可能性も高い。

そうなると冷静でいられないロット数まで簡単に跳ね上がるので注意が必要だ。

最後にやはり損失緩和行動としてのナンピンを心掛けることだ。

よもや逆転で大勝利を収めようなどと考えないで欲しい。

謙虚な姿勢も株式投資において重要だ。

どうしてもナンピンがやめられずにコツコツドカンのような大損になってしまうのであれば、資金を少し出金し、常に全力勝負をするのも荒療治だが良い作戦だ。

ナンピン余力がないのだから、必然ナンピンはしなくなる。

それだけではない。

一発勝負になるため、「下がってもナンピンすればいい」という甘い考えがなくなる。それだけ読みの精度を向上させられる、練習になる可能性が高いということだ。

うまくいかない人は是非この方法を試してみて欲しい。

まとめ

ナンピンの使い方について書いてきた。下手なナンピン手法を取れば本当に素寒貧となってしまうくらい危険であることは間違いない。しかし魅力についてもわかってもらえたはずだ。

損失回避を望むのではなく、少しでも損失緩和につなげる。

このような謙虚さを持ってナンピンをすることで大損リスクは確実に減らせる。

チャンスが少ない相場ではどうしてもナンピンを使ってでも全ての投資機会で利益を出そうとしてしまいがちだ。

多くの銘柄を同時に監視出来るようなトレード環境を整備することで「チャンスはいくらでもある」という気持ちのゆとりを持つことも無茶なナンピンを止めるために大事だ。

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上手なナンピンはトレード力そのものを大きく向上させる。

セルフコントロールを出来るようにし、上手なナンピン手法を身に付けよう。

参考までに筆者が登録している投資顧問無料メルマガの中でもよく使う2サイトを掲載しておく。無料銘柄だけでなく、相場概要についても無料で配信されるので重宝している。

しかしメール数が多く来るため、プライベートメールで登録するのはオススメしない。

無料メルマガ専用のアドレスを作っておくのがいいだろう。

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どちらもフリーメールで登録出来、個人情報を入れる必要もないのが嬉しいところだ。特に株マイスターの配信は相場概要についてかなり詳しい解説がありとても有用だ。