雰囲気で株をやってはいけない、なんとなくでトレードをしてはいけない。よく言われることだ。大負けしたら「そんなやり方してるからだ」と言われても仕方ないように思える。
しかし本当に雰囲気で株をしてはいけないのだろうか。
「あなたはどのように株をしていますか?」
こういう質問をした場合、実は熟練者であるほど「雰囲気」や「なんとなく」という答えが返ってくる割合は高い。雰囲気で株をする、直感デイトレードとはどういうものか。
当記事で徹底的に解説していく。
雰囲気で株取引をすること
初心者は雰囲気で株をすると怒られる。しかし熟練者に株取引で勝つ秘訣を聞くと雰囲気を感じることと言う。なんとも矛盾した世界だ。だがこれが事実である。
雰囲気やなんとなくというのは言葉自体が雰囲気に包まれているようなものだ。
「上がりそう」「下がりそう」という吹けば飛ぶような頼りない感覚を示す。
ではその「上がりそう」「下がりそう」という感覚はどこからくるのか。
当然雰囲気を感じての予想になるわけだが、実はここに大きな差がある。
なにせこの言葉の前にはこの言葉があるのだから。
過去の経験からすると・・・
そう、雰囲気で判断というのは過去の経験からどうなるかという予想が一瞬で行われ、それを基に算出されるものなのだ。決して第六感のようなものではない。
多くの知識、そして経験から一瞬で判断することこそ雰囲気を感じるということなのだ。
初心者の直感トレード
初心者の行う直感トレード、つまり上がりそうと感じて買うトレードは根拠がほとんどない。
2.有名人がツイートしたから上がりそう
3.買い板がすごい厚いから上がりそう
4.すごいニュースが出た後だから上がりそう
5.日経平均が上がってるから上がりそう
6.下がり過ぎだから上がりそう
正しいこともあるだろう。しかしこのような短絡的な理由で毎回買っていれば相対的に負けることになる可能性は高い。ジャンピングキャッチとなってしまうケースも多いだろう。
そして当然売る時も同じような理由で売ることになる。
株は買う時と売る時、2回のトレードで完結する。片方でミスをしてももう片方でうまく出来れば利益になるケースは多く、マイナスになる場合も損失はかなり抑えられる。
初心者が取り返しのつかない大損をしてしまう理由は買いでも売りでもミスを繰り返しているからだ。
例えば一気の上昇に飛び付いてジャンピングキャッチをしたものの、急激な押し目を作られる。そこで売ったところ再度大きな上昇が入り、また飛び付いてしまう。
典型的なカモトレーダーだが、実際にその場になると不思議とやってしまうパターンだ。
・買いか売りのどちらかだけでも腰をどっしり落とす
・自分が売った価格より高く買うことを禁止する
本来は自分が売った価格より高く買い直すことは熟練者にとって重要なこととなる。しかしジャンピングキャッチをしてしまう初心者はいったんこれを禁ずるべきだろう。
自分が売った後もその銘柄のことが気になってしまう人は多い。
売った後に上がってしまうのが悔しくて目線はその銘柄を追い掛ける。
そしてちょっとした上昇でもすぐに気になって買い直してしまう。
これでは毎回のように損をし、気付けば大損となることも少なくない。
銘柄など数え切れないほどたくさんある。1つの銘柄に固執する必要はない。
この高値買い直しを禁ずるだけでも変わってくるはずなので試してみて欲しい。
熟練者の直感トレード
それでは熟練者はどのような直感トレードをしているのだろうか。
2.有名人がツイートして上昇したが行って来いリスクはどのくらいか
3.買い板は厚いが不自然さはないか、誘われた形ではないか
4.すごいニュースが出た後だが、織り込み済みではないか
5.日経平均が上がってるが連動性はあるかどうか
6.下がり過ぎに見えるが周りの同業種と比べてどうか
などなど1つの事象から複数のことに考えが及ぶ。その上でこれらを脳内で一瞬にして処理してしまうのだ。それが成せるのは全て経験があるからなのだ。
本人は一瞬で処理してしまうため、これを直感、雰囲気、なんとなくと表現する。
実際にそれ以上の言い方は出来ないからだ。
もっと詳しく言おうとしたとすると、「上がりそうと思ったものの、過去の事例と照らし合わせてどうか考え、その上でもう一度考えてみたけどやはり上がりそうと思った」
このように結局「雰囲気」「なんとなく」の要素が強まる説明しか出来ない。
多くの経験があるからこそ、その結論に至るのだ。
その人のトレードを知りたくていくら深堀りしたところで、当の本人が全て説明してくれたところで、聞いてる側は「ふーん」と言う程度の内容しか返ってこないだろう。
直感デイトレードは正答率が高い
直感デイトレードの勝率は実は非常に高い。
その理由は当記事をここまで読んでくれた方なら納得いただけるだろう。
誰が考えても、当の本人でさえも直感や雰囲気でトレードをしていると思うような内容であっても、実際には多くの理論がそこに詰め込まれているからだ。
しかも知識に加えて膨大な経験から答えを一瞬にして導き出している。
もう1つ付け加えれば余計な感情を加味していない。実はこれも大きい。
当サイトではプロスペクト理論について度々触れている。
結論から言えば勝てる。問題なく勝てる。コツコツドカンという投資スタイルは完全悪のように扱われることが多いが、果たしてそうだろうか。人間誰しもが少なからずコツコツドカンになるはずだ。 プロスペクト理論というのがある。人間の損失回避思考理[…]
行ける!上がる!
雰囲気でそう感じたとしても「いや、待てよ」という心の警告が入るケースは多い。確かに過去の経験則から上がる可能性の方が高いだろう。でも今回は違うかも。
そのように考え出すともはや買うことは出来なくなる。
上昇している株がさらに上昇するのを狙って買う場合、リスキーに見える場面であっても即座に買う必要がある。先送りにする理由を見つけていては完全に機を逸する。
仕手系低位株と呼ばれる株やボロ株、クズ株と呼ばれる超低位株などは時にとんでもない上昇を見せる。低位株でなくとも仕手は入るが、低位株の短期爆発力はすごいものがある。 それゆえ魅力を感じ、仕手系低位株を追う者も少なくはない。 しかし[…]
人はこれを臆病と呼ぶ。決して慎重ではない。
違和感の強味
経験が長くなれば長くなるほど、違和感というものは強味となる。
いつもとなんか違う、という程度の差であっても大体その感覚は合っている。
経験が長い人ほど多くのパターンを見るだけでなく、1つ1つのパターンを何度も経験していることだろう。だからこそいつもと違う感じがあればそれを即座に感じ取ることが出来る。
いつもよりなんとなく強い気がする。
こう思った時にすぐ買えば大体利益になるはずなのだ。
もちろん逆もまた然りだ。
買ったものの、なんかおかしい。これはまずい。そう感じた瞬間にロスカットが、損切りが出来れば大損を避けることも出来るようになる。違和感に従うことは正しいのだ。
雰囲気を信じるトレード
雰囲気というのは言い換えればファーストインプレッションに素直ということだ。
第一印象はデイトレードにおいても重要だ。
特にいつも同じような銘柄を監視している人であればおかしな動きをした瞬間すぐにいつもと違う印象を受ける。雰囲気が違うと感じる。すなわち違和感を覚えることになる。
これがプラス方面で感じたものであればすぐに買うことで利益につながりやすい。
もちろん失敗もあるだろう。勘違いということもあるだろう。
ただし重要なのは相対的に勝つということ。
一度や二度失敗したところであまり深く考える必要などない。
むしろ雰囲気を信じてあげられなくなることの方がマイナスとなるだろう。
直感デイトレード練習方法
2.日経平均やマザーズ指数との関連性を毎日観察する
3.板の厚みや日中のローソク足の特徴をチェックする
4.いつもと違う動きが観測された時の動きをメモに残す
5.とにかく観察を続ける
これだけだ。20銘柄程度あった方がいいのは確かだが、自分のキャパシティを超えてしまっては意味がない。落ち着いて観察出来る銘柄数に絞ることは大事だろう。
同時に複数銘柄を監視するためにはマルチモニターを用意しよう。
勝ち続けているデイトレーダーはトレード環境を整備している。デイトレ環境を整えることは勝ち組トレーダーの必須条件だ。 トレードルームを始め、トレードツール、インターネット環境など、デイトレをするための環境の正しい作り方を書いていこうと思[…]
また、出来高が極端に多かったり少なかったりする銘柄は良くない。
デイトレをする上で出来高は多ければ多いほど良いようにも感じるが、直感トレードの練習という意味においては全てが違和感と言えるほどすごい動きをするため参考にならない。
出来高が極端に少ない銘柄では何か起こった時の変化が大き過ぎて違和感を磨けない。
適度に出来高があり、個人投資家が好むような銘柄が望ましい。
それらの銘柄を日々観察していく。
日経平均やマザーズ指数の影響をどのように受けるのか、板の厚みは普段どのくらいで節目の板はどのくらい厚みがあるのかチェックしておくことも非常に大事だ。
急騰が起こった際に行って来いチャートを作りやすい銘柄もある。
特徴をとにかく掴めるように観察しよう。
突然多くの買い板、売り板が膨れ上がることもあり、大きな動きが起こる前兆になる場合もある。このように視覚的にわかりやすい違和感が出ることもあるのだ。
違和感を捉えられるようになるためにはまず日常的な動きを知り尽くす必要がある。
地味な作業ではあるが多くの銘柄の日常を知る努力をするのだ。
銘柄ごとの癖を掴むこともまた勝つためには大切な要素となる。
デイトレをしていて、スイングトレードをしていて気付いたことはないだろうか。マザーズ市場にありながらマザーズ指数が上がっている時ほど下がっている銘柄を。 そしてそんな銘柄ほどマザーズ指数が下がっている時に燦然と輝く陽線を出していることに[…]
違和感の正体を掴む
練習と本番は違う。当たり前のことだが株の練習でそれを実際に分別するのは難しい。難しいと言うよりも分別出来ている人はほとんどいないと言っていいだろう。
それもそのはずだ。
練習とは言え失敗すればお金が減る。練習だから負けてもいいと思いながら出来る人はいないだろう。
かと言ってシミュレーションではお金がかかっていないため、臨場感がまるで違う。
シミュレーションならば勝てるのに本番では勝てないという人も多いため、シミュレーションで長く練習を続けることが必ずしも役に立つとは言えない世界なのだ。
直感デイトレードの力を養うのであればとにかくまずは買うことに集中して欲しい。
そして買えたならばその違和感が何だったのかわかるまでとことん付き合おう。
大きな上昇のきっかけだったのか、それとも売りたい人の騙し上げだったのか。
様々な思惑で株価は大きな変動を見せる。しかし長く続けているとその思惑が透けて見えることもある。それはやはり経験と違和感から得られる合作のようなものだ。
とにかくより多くの違和感に触れ、より多くの正体を掴めるようにしよう。
まとめ
直感を頼りに行うデイトレードは非難されがちだ。初心者が負ければ当たり前と言われる。勝っている人に質問をした時、「雰囲気です」と返答がくれば多くの人はガッカリするだろう。
本当の勝つコツを隠してると思われるだろう。
しかし全て事実でしかない。勝ってる人はそれだけ多くの経験を積んでいる。
知識は一朝一夕で得られるものだが、経験は一朝一夕で得られるものではない。
それだけ多くの経験を積んでみよう。そうすることで熟練者の言う「雰囲気」というものが徐々にわかってくるはずだから。