デイトレーダーに限った話ではないが、どんな人でも突然スランプになることがある。例えばプロ野球選手でも好不調の波は必ずある。スランプになったらどのように立ち直ればいいか。
アドバイスをくれる人がいても結局最後は自分で立ち直るしかない。
筆者の経験を踏まえ、スランプの立ち直り方を提案したい。
スランプは突然訪れる
なんとなく好調だなぁと思っていても翌日突然大きな負けがきて、そのまま勝てない波に飲み込まれてしまうことがある。スランプというのは突然訪れるものだ。
もがけばもがくほどドツボとなり、なかなか抜け出せない人も多い。
デイトレーダーは安定収入を持っているわけではないため、不調期間が長引けば生活そのものに多大な影響を及ぼす危険性がある。なんとしてでも早く脱出せねばならない。
そんな思いがさらなる焦りを生み、さらに出口から遠ざかる。
スランプには様々な原因が考えられるため、まずはその原因を明らかにする必要がある。
外部環境要因で陥るスランプ
デイトレーダーは参加者、出来高が多い相場で力を発揮しやすい。
1年間のサイクルとして、夏場は夏枯れ相場と言われ閑散となりやすい。ゴールデンウィーク周辺では連休中のサラリーマンの参加が見込めるが、機関は休みの可能性も高い。
このような季節的要因で外部環境が変わってくることもある。
閑散相場になるとどうしても値幅が狭くなるため、何度も売買を繰り返すタイプのデイトレーダーは苦労してしまうことになるだろう。手数料や金利を気にしてトレードが崩れがちだ。
株式投資は全て自己責任であり、周りに助けてくれる仲間はいない。
時に孤独を感じるくらい1人で行う仕事のため、外部環境にあまり敏感ではない。
数日間連続で相場にやりにくさを感じたらその他のデイトレーダーがつけている収支報告ブログを巡回しよう。この時、出来れば自分の投資スタイルと似た人のブログを見るのがいい。
同じようにやりにくさを愚痴っていたり、成績が落ちている可能性がある。
その場合は外部環境が自分のトレードスタイルと合っていないのだと判断することが出来る。焦って右往左往することは逆効果でしかない。まずは落ち着くことが大切だ。
スランプにならないための予防や、スランプになってしまった場合の対処法については2章、3章でまとめて解説していく。
決算シーズンの大負け
決算シーズンは独特の動きをする。以前と比べても難易度はかなり上がっている。
決算を受けて大きなギャップアップをし、このまま上がると思わせて寄り天という動きもあれば、大幅ギャップダウンからそのままストップ安という動きも目立つ。
総じて買い方に厳しい動きが目立つようになっている。
しかしその中でほんの時々ギャップアップからストップ高を連発する銘柄が出てくる。
どうしてもその動きを見てしまうと同じ希望を抱いて飛び付いてしまうようになる。
特に目測を誤って大損をした後はこのように盲目的に好決算銘柄を頼ってしまう傾向にある。
これは非常に危険な思考だ。パチンコやスロットでローリスクローリターンな台で負けた後に取り返そうとしてハイリスクハイリターンな台に移るような行動と同じだ。
このような半ばヤケ行動でうまくいった試しなどあっただろうか。
ほとんどの人は傷口を広げた記憶しかないはずだ。
自分で転ぶタイプの不調期
連勝が続いていたり、今までと比べて大き目の利益が出せている好調期ほど突然のスランプに見舞われやすい。この場合、外部環境の変化は考えにくく、自分で転んだ可能性が高い。
好調になればなるほど結果にこだわるようになり、少しでも早く結果を出そうとする。
気持ちがはやる傾向にある。
例えば1日に3万円をノルマのようにしていたデイトレーダーが好調期に入り、1日5万円近くを当たり前に取れるようになっていたとする。すると気持ちに徐々に変化が出てくる。
1日7万、10万と伸ばしていけるのではないか。
この感情は非常に危険だ。向上心というのは悪くない。
しかし時にして危険だ。
1日3万円だったところから5万円になった時はきっと特別意識はしていなかっただろう。つまり自然な形で1日あたりの利益を増やすことに成功しているはずだ。
この『自然』というところがポイントになる。
その先を求めるのは不自然さを伴う。
そしてそのためにも1日の早い段階で5万円の利益到達を目指すようになるだろう。
そうなると1回1回の取引での利益額を伸ばし、さらにトレード機会を増やそうとする。どんどん不自然な形で自分のスタイルが崩れていってしまうのだ。
それでも目標を変えようとはしない。
自分で気付くまではなかなか改善出来ず、気付いてからも受け入れられないうちは改善が見込めない。この泥沼状態は絶対に避けたいタイプのスランプだ。
スランプ突入の予防法
3種類のスランプについて取り上げてきた。
2.決算のような特殊相場からのスランプ入り
3.自分で勝手に転ぶスランプ
まずは外部要因からのスランプ入り予防について話したい。
夏枯れ相場のように季節特有の閑散相場は毎年来る。その年をなんとか乗り切っても翌年また同じような閑散相場が来るのだ。どうしても苦手ならばその季節を休むのもいいだろう。
どんな仕事にも夏休みのような長期休暇はあるのだから。
収入が減る時期を憂うのであれば収入源をもう1つ作っておくことで心のゆとりも違う。
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相場に向かうことを前提とするならば引き出すを増やしておくことだ。
特殊相場になるとそれまでの常識が通用しなく、違った手法やロジックが求められる。
短い期間ではあるが、閑散相場なら閑散相場用の、暴落相場なら暴落相場用の手法を作っておくことで対処は可能になる。面倒と思わず引き出しを増やす努力をしよう。
決算要因のスランプ予防
これは簡単だ。触らぬ神に祟りなしという気持ちで決算銘柄を触らないことだ。
デイトレーダーと言えどトレードする銘柄の決算日時くらいは必ず調べておこう。
場中に決算発表をする企業もあり、それが毎回恒例となっている場合もある。
知らなかったから巻き込まれたで済む話ではない。ほんの数分使うだけでこれは回避出来るのだから。また、決算が近いというだけで動きが変化することも多い。
決算数日前からは触らないようにすればいい。
決算銘柄にもチャレンジすることを前提とするならば、決算直後の寄り付き買いを避けるなりして、パニック的に負けるようなことはないようにしよう。
事前に最悪を想定しておくくらいでちょうどいい。
決算シーズンは場中のデイトレよりも、決算書を的確に読める力を身に付けてPTSとの差をうまく取る方が勝率を考えても効率を考えてもいいはずだ。
PTSという言葉を聞いたことはあるだろう。夜間取引という認識が主となっているが、私設取引システムという名称で昼間であっても取引をすることが出来る。 トレーダーからの注文は通常証券会社が受け、代理で東京証券取引所などの市場に注文が出され[…]
自分で転ぶスランプ予防
調子に乗らないこと
ハッキリ言ってこれに尽きる。
デイトレーダーという職業を選んだ以上、勝つことは当たり前なのだ。勝って喜んでいいのは趣味で投資をする人であったり、ギャンブル感覚でトレードする人だけだ。
勝って兜の緒を締めよという言葉があるように、勝って浮かれていてはすぐに足をすくわれる。
仕事でもやりがいや喜びを感じることは大切だが、あくまでデイトレーダーが勝つというのは普通のことだ。本来であれば連勝や勝率にこだわることはナンセンスである。
こだわるならば最終結果のはずだ。
ただ孤独な中での作業ゆえ、独自のモチベーションという意味では連勝記録などを考えるのもありだと筆者も考える。だがそれはあくまで自己満足の世界だ。
連勝記録を更新しても世間はそこに興味などない。
モチベーションとして使うなら良いが、それで調子に乗るようなら即スランプ室へご案内となる。公私混同しないようにすることでこのスランプは予防出来る。
スランプから立ち直る方法
スランプというのはほとんどが心の病であり、これは外部要因からのスランプ入りであっても例外ではない。よって立ち直るには心をいつもと同じ状態に持っていくほかない。
世の中には自分の力ではどうにも出来ないことがある。
相場環境を自分で変えることなど出来るはずもない。
まずは現状を、やりにくい相場を、閑散相場を受け入れるしかない。
確かに勝ちにくいのは環境が関わっている。しかしそこからスランプ入りし、負けてしまうのは相場のせいではなく自分の心のせいだ。
先述のように副業など他の収入源を作ったり、休暇を取ることであっさりと抜け出せる可能性も高い。要は心の安定だ。稼げない現状を受け入れることさえ出来れば変わることが出来る。
決算期のスランプ脱出
決算期もそうだ。普段と違う相場環境に自分から飛び込み、抜け出せなくなっている。
手法やロジックは変化、進化させていく必要がある。
だが心の部分はいつも同じであるべきだ。
自分で転ぶタイプのスランプについても同様となる。
本来であれば1日あたりの利益が自然に増えるという進化があったものの、そこで調子に乗ってしまえば全て水泡に帰す。進化直後も「いつもと違う」状態なのだ。
調子に乗るということはその心境に対応出来ていない何よりの証拠だ。
どんな相場であっても、どんな成績であっても、心をいつもの状態にすることでスランプは必ず脱出する。
やりにくい相場、悪化した成績という状況下ではいかにいつも通りを心掛けてもどこかでいつもと違う行動を取ってしまいがちだ。本当にいつもと同じ感覚なのか。
本当に取り返そうとしていないか、本当に無理なトレードをしていないか。
ゆっくり自問自答してみることだ。
デイトレブログをつける意味
デイトレーダーがブログに自分のトレード内容や収支を公開している理由は何だろうか。
承認欲求、自己顕示欲などが主な理由である人もいるだろう。
しかし上には上がいるということを多くの人は理解している。
デイトレブログをつける理由は自らの記録のためだ。
過去の自分もいつかスランプに陥ったことだろう。しかしそのスランプから抜け出すことが出来たからこそ今があるわけだ。スランプ脱出の鍵が心にあるとしたら、過去の自分こそ最高の道しるべとなる。
何年の何月頃にスランプになったという記憶は意外と強く残る。
そのため、収支ブログ等で感情を吐露しておけば、振り返ってどのような状況だったか確認することが出来る。また、具体的に取った行動を記しておけばスランプ脱出の鍵が見える。
データをつけることで過去の自分が知りたい情報を教えてくれるのだ。
筆者も1年のうちのどこかで思うようにいかなくなる時期がある。そんな時は自分の収支や当時の相場環境を書き記しておいたデータを見返すようにしている。
結局最後の結論としては「いつも通りやる」ということになるのだが、「いつも通り」という言葉ほど重いものはないとスランプになる度に痛感させられる。
人間の心は強いようで弱い。
少しのことで流されてしまうし、負ければ取り返そうと無茶もしてしまう。
落ち着きを取り戻すという意味でも過去のデータを眺める時間を作ることは大切だ。
ブログの使い方によっては副収入につながる
株ブログをつけているとしても、あなたが芸能人ではない。
誰もあなたの収支に興味があるわけでもない。
そう、そのはずだった。
しかし収支ブログというのは意外と読まれる。
誰しも経験があることだが、先述のように相場環境を知る上で他者のブログを読むことは有効でもあり、心が弱った時の共感目的で巡回する人もいる。
他者の不幸を希望するようなタイプも加味すれば様々な人、様々な環境の人が収支公開型のブログを求めているということがよくわかるだろう。
読む人がいればそこにビジネスチャンスは生まれる。
自分のデイトレ成績向上のためにデータを残すという最大の目的を見失わないままにその記録を綴ったブログを公開すれば月に数千円~数万円程度の収入は見込めるだろう。
その他付加価値を見出せればさらに上の世界も見えてくる。
新しく大きいことを始めるのは大変だが、自分のトレード内容を記すだけで収入につながるのであればやってみる価値は大いにあると言える。
収入源が増えることでスランプの予防にもなることは先ほども書いた通りだ。
筆者自身もブログ収入はわずかながらいただいている。
このことで心の安定度は金額以上に増している。
株の世界同様に月に100万円、1000万円と稼いでいる人もいる夢のある市場でもある。人に見られること、文章を書くことが嫌いでなければ挑戦してみるのもいいだろう。
まとめ
昨日まで「今後しばらくは安泰だろう」と思っていたはずが、突如として将来への不安に変わる。デイトレーダーとはそういう世界で戦っている人が多い。
デイトレーダー生存率は毎年どんどん悪化している。
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生き残るためには少しでも心を安定させ、まずはスランプを予防すること。
そしてスランプになってしまったらきちんとそのことを受け入れ、早くいつも通りの自分に戻れるようにしよう。デイトレーダーとしていつまでも稼ぎ続けるために。