株で大損した人を何人も見てきた。退場者を何人も見てきた。億を掴んでから破産に追い込まれた人も見てきた。そして筆者自身も株で大損をした経験者である。
株で大損する人の流れ、特徴とはどのようなものだろうか。
株初心者が大損する時の流れ
株で大損する時、どのような流れで負けるのか思い出してみよう。
思い出したくもないだろうが、流れを知ることで今後同じ過ちを繰り返しにくくなる。
2.すぐに下落して焦ってロスカット
3.その株が再度上昇するのを見て慌ててもう1回買う
4.すぐに下落したものの、先ほど同様の上昇を見込んでナンピン買い(買い増し)
5.止まらぬ急落で大損
このような流れで負けた記憶はきっとあるだろう。これはまさに最大効率での負け方だ。これ以上効率的に損をすることは出来ないというほど見事な負け方になる。
筆者も例外なくこの道を通ってきた。
急騰株を見つける度にチャンスと思い込んでしまい、まるで動くものに反応してしまう猫のようにジャンピングキャッチしてしまうのだ。もはや猫キャッチと言うべきか。
成功体験が大損を助長する
例えば1番のようにジャンピングキャッチをした時、数回に1度は大きな上昇に乗れる。
この時はそれなりに大きな金額の勝ちになる可能性も高い。
仮に5回に1回程度の低い確率であっても、そのような成功体験は強く印象に残る。そして1番のタイプを見つける度にその成功体験を妄想してしまうのだ。
わかっていながら急騰株へのジャンピングキャッチがやめられない。
そう悩んでいる人の多くはこの成功体験が問題になっているはずだ。
また、上記流れの中で3番も大きな原因の1つだ。
慌てて買い直すことも問題であるが、それ以上に株価が持ち直す場面、そしてさらなる上昇に転ずる場面を目撃してしまっていることが大きな問題なのだ。
2番では損切りが出来ていた人間が4番で買い増しという真逆の行動を取ってしまう原因、それは「持っていれば儲かった」という疑似成功体験によるものだ。
株式市場は心理戦だ。本当によく心理の逆を突いてくる。
いつも後ろで誰かに見られていて、自分を狙い撃ちしているのではないかと被害妄想に駆られる人も少なくはないだろう。それくらい見透かされたような値動きをするものだ。
負の連鎖は止まらない
初心者が精神的にパニックとなるのはこれだけで十分な材料だ。
株の世界に入る時、デイトレードを始める時など、そんなに厳しい世界だと知っている人は少ない。知ってさえいれば株などやらなかったと後から思う人も多いくらいだ。
ジャンピングキャッチがいけないのであれば反対に急落を拾ってみる。
今度は落ちるナイフ、ナイアガラと呼ばれるような値動きに打ちのめされる。
デイトレで勝てずにスイングトレードに賭けてみるも負け続け、中長期投資でも負ける。
株という共通した世界である以上、根本的な部分が変わらない限りどの手法、どのやり方をしても結局は負けるように出来ているのだ。変えるべきはスタイルではない。
損失が止まる時
このままではいけないと自分の状況をきちんと受け入れ、努力をした人は変わっていくだろう。しかしそのような努力の出来ない人の損失が止まる時。
それはお金の大半を失い、完全に株式市場に絶望した時だろう。
退場、もしくはほぼ退場というところまで追い込まれたところで損失は止まる。
これ以上負けようにも負けられないくらいお金がなくなって初めて止まるのだ。
坂道は急に止まれない。下り坂は途中でどんなに力を入れても止まれない。
努力という明確なブレーキをかけなかった人は物理的に止まる位置まで落ちるということだ。
筆者も破産寸前まで追い込まれた経験がある。
ここから退場する人、退場するもお金を貯めて復帰する人、ここから急激に勝てるように努力をして変わる人などこの先は様々あるだろう。しかしここまでの道は多くの人に共通するのだ。
億り人や大儲けの経験をした人が大損する流れ
億を掴んだ人や大儲けを経験した人だけでなく、コツコツでも勝ち続けられるようなデイトレーダーなどに成長した人などもまた大損の流れに飲み込まれることがある。
初心者の時のような流れにはさすがにならないだろう。
だが億り人や大儲けで大成功を収めた人が大損する流れは壮絶とも言える。
2013年に続出した億り人の中には2014年に大損をし、程なくして退場した人もいる。
流れを見てみよう。
2.成功してもその上を目指し続ける
3.成功の連鎖が止まり大き目のドローダウンが起こる
4.なんとかしてすぐに取り返そうと熱くなる
5.無理なロットと無理なトレードが目立つようになる
6.大負けの連鎖に突入する
株価の上昇局面においてはどれだけリスクオンに出来るかが大儲けの鍵だ。
下落局面でリスクを大きく取り、破産という形で退場ともなれば、リスク管理が出来ていないと後ろ指を指されることになるだろう。だがそんなものは所詮結果論だ。
リスクも取れない人間に言われる筋合いなどない。
この成功者たちはリスクを取ることで大成功を成し遂げた。
そんな時に指をくわえながら見ていることしか出来ず、成功者に対して「いつか失敗するぞ」と嫉妬していた人たちが急に鬼の首を取ったようににわかに騒ぎ立てる。
人間の醜い部分ではあるが、こういう本能的な部分を知ることも心理戦がメインとなる株式投資では役に立つ場面があるだろう。
坂道の法則
苦労して坂道を上った後には楽しい下り坂があると言う。
これを株の成功者に使うのは皮肉になってしまうが、にわかに大成功をした人、いわゆる成金という形で億り人になったような成功者はこの法則にハマりやすい。
楽しく上り坂を上ってきた後には身の毛もよだつ下り坂があるということだ。
成功体験が大損を助長するという意味では初心者のそれと同様だ。
一度掴んだ大金を失い出すと、どうしても最大資産以上へ資金を回復させるために躍起になる。
もがけばもがくほど深みに嵌っていってしまうものだ。
一度突入した下り坂は簡単に止まれない。これは初心者が破産までいってしまうのと同じことだ。パニックに陥った思考ではトレードスタイルも崩れ、ロット管理はさらにおかしくなる。
信用取引を使ってロットを極限まで高めることにより大儲けをした人は下り坂においても無理にロットを上げて一気に取り戻そうとする傾向にある。
エネルギー保存の法則
エネルギー保存の法則を覚えているだろうか。
大きく膨れ上がった資金は位置エネルギーとしても最大となる。
そんな位置から下落相場に巻き込まれ、斜面を滑り落ちればどうなるか。
大きな位置エネルギーは大きな運動エネルギーに変化しながら加速していく。
こういうタイプの人は全財産を株式投資の本質で勝負をしていることになる。
『金額』ではなく『割合』で動いているのだ。
資産が1000万だろうと1億だろうと破産するまでの期間は大差ない。
そのリスクが取れるからこそ「短期間で」財を成すことが出来たのだから。
損失の流れを止めるには
初心者が破産、つまり坂道の一番下でしか止まれないように、精神的に追い込まれた成功者も物理的にしか止まれない。一気の破産という止まり方もちろんあり得る。
ただもう1つ止まり方がある。
それは出金という手段だ。
ドミノに例えた方がわかりやすいだろうか。
破産というのは全てのドミノが倒れた状態を指す。出金という手段は倒れるドミノの中間地点を人の手で抜いてしまうイメージだ。これ以上倒れないように。
割合で損益が動くトレードスタイルである以上、分が悪い時期には自制をする必要がある。
出金をすることは損失ドミノ、大損ドミノを止める行為になるが、同時に短期間で取り戻す可能性も消す行為となる。言わば良い意味で諦めることが出来たのだ。
ただ、精神的に落ち着きを取り戻さない限り再入金という禁断の手段を取りかねない。抜いたはずのドミノに板を戻してしまう行為に他ならない。
出金により連敗ドミノから開放され、勝てるようになるとすぐにまた欲が再燃してしまう。
そう簡単にマクロ視点での流れは変わらない。
我慢すべき時は我慢することが大事だ。
また本当に流れが向いた時にやれることを何でもやればいいのだ。それだけのリスクを取れる人間が地合いや情報などの運や流れの援護を受ければ復活することも出来ることだろう。
有料投資顧問の株情報を使ったことはあるだろうか。筆者はある。初めて情報サイトから受け取った銘柄の値動きを見た時は驚愕したものだ。それほど強烈な動きだった。 テレビなどのメディアで億トレ・億り人という言葉がよく使われていた時期があった。[…]
コツコツ派のデイトレーダーが大損する流れ
コツコツ派のデイトレーダーはあまり大損するイメージはない。
こちらは割合ではなく、金額を見てトレードするスタイルになることも大きい。
コツコツドカンと言われるスタイルになることも多いが、それでもデイトレであれば問題なく勝っていくことも出来る。ではコツコツ派のデイトレーダーが大損する時はどのような流れになるのだろうか。
2.数日分の利益を飛ばす大きな負けをする
3.不安と焦りからコツコツ勝つ気持ちが薄れ大きく取ろうとする
4.いつものトレードが出来ずに連敗をする
5.大型連敗に突入し、大損に発展
勝てるようになったデイトレーダーと言えど、3番のように不安と焦りに支配されてしまえば一瞬にして素人トレーダーに逆戻りしてしまう。
そうなればコツコツと確実なトレードをするという自分の持ち味が出せなくなる。
勝率の高さも持ち味だったはずが、連敗をするようになる。
コツコツ稼ぎ、負ける時もコツン程度の負けにすることが身上であっても、連敗街道に突入すると1回1回の負け額もどうしても大きくなってしまうものだ。
現実を受け止める勇気
連敗を止めるには大儲け経験者と同様にドミノを抜く必要がある。
ただ出金という方法はコツコツ派デイトレーダーにとって何の意味も成さない。
金額で見るタイプであるため、投資資金を落とそうが流れは変わらない。
自分自身の投資スタイルがコツコツ稼ぐものだということを再認識する必要がある。コツコツドカンのドカン負けを容認することで勝っていることをもう一度自覚する必要がある。
結論から言えば勝てる。問題なく勝てる。コツコツドカンという投資スタイルは完全悪のように扱われることが多いが、果たしてそうだろうか。人間誰しもが少なからずコツコツドカンになるはずだ。 プロスペクト理論というのがある。人間の損失回避思考理[…]
大儲け経験者のようにリスクを取ることは本来出来ない。
らしくもなくリスクを取りに行けば暴れ馬をコントロール出来ずに傷口を広げる。
「取り返そう」という気持ちの板を抜くことなくしてこの連敗ドミノは止まらない。仮に止まったとしても本当の意味では止まりなどしない。すぐに悪癖が顔を出す。
大損を短期間で取り返す力が自分にないという現実を受け止め、自分の出来ることを再認識し、自分の持ち味を生かすトレードを取り戻すことが重要となる。
まとめ
3タイプに分けて大損する流れ、大損する人の特徴について書いてきた。初心者は勝つまでにある程度の勉強料として負けることも必要になるだろう。
大儲け経験者は全てを失う前に行動する必要がある。
コツコツ派が連敗を止めるには現実を受け止める必要がある。
それぞれ立ち直り方は違えど、共通しているのは精神的な部分だ。今起きていることから目を背けず、きちんと向き合い対処しようと努力した者のみ次のステージに行けることだろう。
勝ち組となるためには時間を惜しまず努力するようにしよう。