株においてポジポジ病とはどのような症状を言うのか。治したいと考えている人も多いだろうが、ポジポジ病にはデメリットだけでなくメリットも同時にある。
このポジポジ病は主にデイトレーダーがかかってしまうことが多く、特にバブル相場のように上昇している局面で発症する。発病後に下落相場入りすると大変な痛手を負う。
下落局面におけるポジポジ病は致命傷にもつながりかねない。
当記事ではおすすめの治し方、克服方法について解説していく。
ポジポジ病とはどのような病気か
ポジションポジション病、すなわちポジションを持たずにはいられないことを精神的な病に見立ててポジポジ病と言う。実際の病気とは違うように見えるが、心の病とも言える。
それほどポジポジ病になってしまうと根が深いものなのだ。
冒頭部分で触れたように、ポジポジ病は上昇相場で発症しやすい。
バブルのような相場では様々な銘柄が上昇、時には急騰、暴騰を見せる。
そのためどれを買っても儲かるような流れを目にすることになる。そこで儲ける経験をしてしまうと脳はその成功体験を強く記憶する。自分が持っていない間に株価が上がっていってしまうような強迫観念に迫られてくるのだ。
そうなると何でもいいから買ってチャンスを掴みたくなってくる。
無理して買っても利益につながるため、上昇相場はこのポジポジ病が良い方向に出る。しかしそのようにして成功を積み重ねれば積み重ねるほど脳はさらに成功体験を覚える。
正常であればバブル相場終了と同時にこの考え方を改めるだろう。
しかし下落相場入りしても何かしら株を買っていないと落ち着かない。そんな状況になってしまったらそれはまさにポジポジ病だ。勝ち負けよりも株を持ちたい気持ちが強くなっている。
この場合は治療が必要になる。
わかっていても治せないのがポジポジ病
当記事でいくら理屈をこねても無駄だろう。
なぜならポジポジ病を自覚している人は治すべきだと自覚しているケースが多い。
心の病だけあって、わかっていても治せないというところに根の深さを感じる。
下落相場で常にポジションを取っていたら相対的に負けていくのは自明の理だ。誰が見てもわかること。それなのに上昇相場での成功体験が忘れられず、すぐに株を買ってしまう。
一度買ったら最後、いくらでも持ち続けられてしまう。
売るとしたらもっと他に欲しい株が出てきた時だ。B株に魅力を感じたものの、A株を持ったままではB株が資金的に買えないという場合に限りA株を売ろうとする。
そんなバカなと思う人は安心して欲しい。ポジポジ病ではない。
これは言ってみればギャンブル脳と言える。
失敗を繰り返しても成功時の記憶が強烈過ぎてその影を追い続ける。その中で1回でも成功すれば再度記憶が更新され、その成功をまた追い続ける。永久に抜け出せないトンネルだ。
パチンコやスロットで借金になる人と全く同じ道と言える。
彼らはやり続ければ負ける、相対的に負けるとわかっていてもパチンコ屋に行くのだから。
株で勝つコツは相対的に勝つことであるため、真逆の行動を取っているのだ。
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ギャンブル脳とポジティブ脳
仕事のようにデイトレをしている人は、待つ時間も、待つことも仕事の一環という考えを持ってチャンスを待ち続けている。ポジポジ病となると、その場その場での最善策を考えて株を買うものの、チャンスがない場合でもその中で最善の株はどれかを強引に考えて買うことになる。
結局チャンスがなくとも、マシな株を買ってしまう。
また、全力で持ってしまいがちなのもポジポジ病の悪い癖だ。
そのため、本当にチャンスと思える場面がくると、その前まで買っていた銘柄がうまく煮詰まってきた頃合いであってもそれを売って乗り換えてしまうケースが多発する。
乗り換えるために売ってから買うという余計な時間がかかる。
そのせいで絶好のチャンスを逃してしまう可能性もある。
チャンスを逃したとしても、「あの株を売ってまで資金を用意したんだから」という思いが邪魔して強引に買ってしまうだろう。それだけではない。
乗り換えるために売った株に上昇があれば、「あの株を買った判断は間違っていなかったんだ」と売った自分に目をつむり、買った自分を肯定する気持ちを持ってしまうだろう。
ポジションポジション病というよりも、ポジティブポジション病と言う方が正しいかと思うくらいポジティブな思考を持っているのもポジポジ病の特徴だ。
株で破産をしても繰り返す
株のトレードにも見えない流れのようなものがあり、負け始めて心のバランスを崩すとどこまでも負け続けてしまう傾向にある。資金がパンクしない限り止まらない負け方もある。
一番下まで転がり落ちることでやっと冷静さを取り戻し、バカなことをしたと反省する。
しかしそれは熱くなってしまい、レートを上げて取り返そうとした場合の話だ。
ポジポジ病が原因で大負けをし、破産した場合、株やデイトレの世界へ再入場したとしても全く同じ負け方、同じ退場の仕方を繰り返す傾向が非常に強くある。
何度も何度も働き、種銭を用意しても、毎回全く同じように破産する。
これはポジポジ病が原因である可能性が極めて高い。
本当に精神病のようなものであるため、破産しようが大失敗しようが根本的な治療が出来ない限り治ることはない。ポジポジ病というものを甘く見るのはやめた方がいい。
本当に人生そのものを蝕まれかねない。
ポジポジ病の治し方とは
まずは思い出して欲しい。株を始める時、どのような気持ちであったか。
こんなギャンブルをするために株を始めたのか、王になるか奴隷になるかの二択でしかないようなトレードを望んで始めたわけではなかったはずだ。
遠回りなようだが、まずはそのことを自分にもう一度言い聞かすことから始めよう。
次は趣味を見付けよう。決してバカにしているわけではない。真剣そのものだ。
ポジポジ病になると、勝つために株をやっているわけではなく、株をやること自体が目的になってしまう。デイトレで言えば待つことをせず、常に何かしら買おうとする。
参加することで満足する身体になってしまっている。
株をやるために生きているのか、生きるために株をやるのか、よく考えることだ。
趣味を見付けることの意味
趣味を見付けると言っても、パソコンの前で出来ることにして欲しい。デイトレードでパソコンにかじりついている人でも同時進行出来るような趣味を見付けるのだ。
携帯ゲーム、スマホゲームでもいいだろう。パソコン1つで出来る副業に活路を見出してもいい。
とにかく株以外のことに目を向ける努力をして欲しい。
副業をすることはデイトレーダー生存率を高めるためにも有効だ。
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また、コツコツ頑張る気持ちを思い出せる可能性もある。
常に株のことばかり考えていて、ザラ場中はパソコンからほとんど目を切ることもなく集中する。それだけ集中しているにも関わらず、やっていることは株を買って放置するだけだ。
ほとんどの時間ポジションを抱えているということは、それだけ何もしていない時間も多い。
何もしていないが所持株を応援している。それだけのための時間が多くなっているだろう。
まずはポジションを持ったままでもいい。応援している時間を他の楽しいこと、興味を持てることに費やす努力をしてみて欲しい。
思い切って休みを作る
ポジポジ病になっている、もしくはなりかけていたかもしれないという人は少し考えてみて欲しい。自分の意思でザラ場を見なかったことはあるだろうか。
恐らく100%に近い確率で相場を見ていることだろう。
旅行や外出の誘いなどがあったとしても株優先の生活をしていないだろうか。
いつまでも熱中出来ることは悪いことばかりではないが、このままではポジポジ病は治らない。
スマホなどのオンラインゲームがやめられないタイプも同じだが、どこかで勇気を出してたった1日だけでいい、休みを作ってみよう。その我慢はきっと救いになる。
それだけ熱中出来るタイプはそこまで継続してきたことが途切れることでプツリと糸が切れ、憑き物が取れたように軽くなることも多い。
どうしても出来ない日を待つのではない。
出来るのにやらない日を作るというのがポイントだ。
ポジポジ病から得られるメリットとは
ポジポジ病の反対を無理やり言うならばノーネガ病、ネガノー病あたりだろうか。
ネガティブ過ぎるゆえにノーポジション病だ。
買っても誰かが後ろで見ていて意地悪されるかのように下がる。どうやっても勝てる気がしない。含み益が出ても怖くてすぐにリカクしてしまい利益が伸ばせない。
このような悩みを抱えている人も非常に多い。
ただこちらはネガノー病という言葉もなければノーポジ病という言葉もない。
心の病という扱いではない。臆病という人間の性質だからだ。
しかし裏を返せば本能に近いこの感覚はそう簡単に打破出来るものではない。
株で勝つためにはリスクを取る勇気も必要であり、リスクを取れるということは本能に打ち克っているわけであり、立派な才能の1つと言える。
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ポジポジ病そのものは危険な思考であり、絶対に治さなければならないものだ。
しかし、株を持つことに対する恐怖を克服するにはポジティブさ、前向きな気持ちは絶対に必要となる。常にポジションを取りたい気持ちは改善しても、ポジティブさは出来れば残したい。
ワガママなようだが、ポジポジ病の持つポジティブさと、ネガノー病の持つノーポジション癖が合わされば、ポジティブなノーポジションという最高のデイトレーダーになれそうだ。
まずは何よりポジポジ病そのものを治すことが先決だ。
スマホゲームやパソコンで出来る副業、そして休みを作ることだ。
是非試してみて欲しい。
まとめ
いかがだっただろうか。実は筆者の身近にポジポジ病の見本とも言える人物がいる。大成功した経験もあればポジポジ病ゆえに苦しんだ経験もたくさんしている。
本人も治したいのに治せないまま苦しんでいたのをよく知っている。
ポジポジ病の治療は早ければ早い方がいい。当記事を読んだのであれば、これをきっかけに是非今から何か1つでも始めるようにして欲しい。