株式投資はスポーツに例えるならサッカーやラグビーに近い。野球のように攻守が分かれているわけではない。どんなにチャンスであっても直後に大ピンチとなることもある。
カウンターという攻撃があるように、株式トレードも一瞬で攻守が切り替わる。
本記事ではこの攻守のターンについて詳しく記載していく。
株式投資、特にデイトレードにおいては明確な正解というもがない。しかしだからこそ経験から確率を高めることが大切だ。筆者の経験上確率の高いタイミングも記載したい。
上昇基調の株価を考察
上昇基調である以上、買いの方がやや優勢の展開が続いていると考えられる。
言わば買いのターンと言えよう。当然1分1秒で状況は変わり続ける。買いがやや優勢とは言え、実際には多くの売り注文、買い注文がバチバチとぶつかり合っている。
攻守のターンを見極めるためにはチャートを利用するのがわかりやすい。
特に一般的な5分足チャートを使うことでより確率を高められるだろう。
時々5分足チャートを使わないことを勧められているサイトがある。だが使い方次第でどのチャートも使えるようになり、使えないようにもなる。要は使う人次第ということだ。
急騰後の値動きで見極める
大き目の急騰があった場合、定石としては少し押し目として売りが優勢となる。半値押しという言葉もあるように、上昇の半分くらいを吐き出すような動きもよく見る。
そしてそこからどうなっていくかはまた未知数ということになる。
ではどういうケースが買い優勢、買いのターン継続となるのだろうか。
それはズバリ高値圏維持というチャート形成だ。
勘違いしないで欲しいのは、急騰後にさらに上がる動きがなくとも弱いわけではないということだ。二段高、三段高を演じるようなチャートはいらないのだ。
理由は簡単だ。
急騰が起これば必ず注目される。これは必ずだ。
どのような経緯で急騰が起こったとしても、その急騰に気付く者は必ず現れる。証券会社の取引ツールではランキング機能などもあるため、多くの人が目にすることだろう。
人間の心理としては高値で、それも最高値で買うことだけは避けたい。
少しでもいいから押したところが欲しいと思い、押し目待ちをする人が出てくる。
仮にそこから前述のような半値押しという形を作ろうものなら、その押し目待ちの人たちが皆買えてしまうことになる。徐々に売りのターンが近付いているとも言える。
では逆に押し目を作らず高値圏維持というチャートとなった場合はどうだろうか。
押し目待ちをしている買い予備軍の人たちはほとんど買わせてもらえない。
そしてそういう人たちは当然その銘柄の監視を続けることになる。
二段高へ向けての助走
助走とは言ってもじわじわ上がる必要もない。とにかく高値圏をキープだ。
5分足チャートのローソクにして4~5本分。つまり20~25分程度高値圏から落ちないでキープするだけで良い助走となる。先ほどの押し目買い予備軍の人たちは当然買えていない。
そこに次の波動と思える上昇が始まったらどうだろうか。
20分以上も焦らされ、その銘柄に時間を拘束されていた人たちは慌てることだろう。
高値更新となったそのタイミングで買いが多く入るケースは非常に多い。
あれだけ「下がったら買いたい」と思っていた人たちが「上がったのに買う」のだ。これは20分以上焦らされた効果が非常に大きく出ていると考えることが出来る。
もしも注目した時にそのまま上昇していたならばきっと静観出来ただろう。
高値圏で均衡して5分程度で二段目、第二波動に突入した場合も静観出来る。
しかしその銘柄を監視している時間が長過ぎた。20分は長過ぎるのだ。
当然その20分を無駄にしたくない心理が働く。ゆえに下がったら、押したら買おうと思っていたものの、第二波動を目の当たりにした瞬間、上がっても買いになってしまうのだ。
これは言わずもがな買ったのではなく、「買わされた」のだ。
思い当たる節がある人も多いのではないだろうか。
高値圏で均衡していた時間、それは攻守が均衡していたわけではなく、水面下で密かに買いのターンが続いていたことになる。そしてその攻撃に屈した買い予備軍という図式だ。
もちろんこのまま大きな上昇となり、全員が勝者というケースもある。
だがこの時点においては前述の通り、それまでのホルダーが押し目買い予備軍に買わせることに成功したと考えるのが妥当だ。
押し目買い予備軍側の場合、15分程度高値均衡で「買わせてもらえない」と感じたあたりで思い切って均衡した株価で打診買いを入れてみるのがいい。もちろんナンピンは禁止だ。
下落基調の株価で考察
売りのターンが続いている場合を考えてみよう。ホールド中であれば絶賛含み損中であり、新規買いをするのは逆張り思考の人間であると考えられるケースだ。
こちらも5分足チャートを使って見ていくことが妥当だ。
5分足チャートは最も多くの人が使っているチャート方式だ。確かに周りと同じ行動を取っていては勝てないという理論はあるが、どのチャートを使うかという行動は関係ない。
そもそも大衆心理を読みたいのであれば大衆と同じものを使う方が理に適っている。
それでは見ていこう。
急落後の株価推移を見る
当然急騰後の株価で見極める時の逆になるわけだが、こちらの場合に判断ミスを行えばそれは機会損失ではなく実損が発生することになるため、よりシビアに考えておきたい。
急落が起これば多くの場合は安くなったことを好感した新規買いが入る。
逆張りの習性ということにもなるが、実は安くなったという理由だけで買ってしまう人も多い。
スーパーなどの値引きシールを考えて欲しい。
例えば狙っているお惣菜などがあり、そこに値引きシールが貼られればすぐにかごに入れるだろう。人気商品であれば多くの人が一斉に買いに走る。これがリバウンドだ。
元々安くなることを狙っていた人の買いに加え、安くなったことに後から気付いた人も買いにくるため、需要が一気に増す形となるのだ。半値押しの反対で半値戻しの期待ポイントとなる。
しかし全く人気のない商品はどうだろうか。
せっかく値引きシールが貼られても見向きもされないケースもある。これは急落してもプチリバウンドさえ入らずにヨコヨコとなってしまう銘柄のことだ。
次の下落に巻き込まれないことを優先
急落後のヨコヨコ。これは非常に印象が悪い。同じくスーパーの値引きシールで考えれば想像もしやすいだろう。値引きシールが貼られつつも大量に売れ残っている商品を見てどう思うだろうか。
初めて見る人でも「これはおいしくないんだろうな」と思ってしまう。
第一印象から先入観を持ってしまうことだろう。
このタイプに必要なこと、それは15~20分以内に小さなもので構わないからリバウンドを入れることだ。
前述のように逆張りの習性として「安くなった」という理由だけで買い付いてしまう場合もある。買い指値を入れていたものが巻き込まれて下落するケースもある。
この買いに関しては不人気銘柄であっても同様だ。
この不人気銘柄が15~20分の間にプチリバウンドでも入ればまだ注目されるのが遅かっただけでそこから回復していく可能性も残す。逆張りであればプチリバで逃げるのもありだ。
しかしプチリバウンドさえなく時間が経過した銘柄には次なる急落が起こりやすい。
新規急落の入り口
急落から20分もリバウンドがなければ一時乖離したはずの5本移動平均線が近付いてくることになる。それまでに多少なりのアップダウンがあればチャートの形も変わる。
だがプチリバなしのチャートは大変見栄えも悪く、5本平均線が近付くタイミングは次なる急落の可能性が一気に高まることとなる。このタイミングは本当に安値更新が起こりやすい。
理屈の面でも心理的な面でもさらなる急落が起こる可能性を説明出来る。
これほど説明がつく急落場面の他にないくらいだ。
2.安くなっても魅力を感じる人が少ない
3.リバウンドが入っても買いが続くはずがない
4.このままの価格だと上値買いは入らない
5.しびれを切らした売りで安値更新となれば売りが加速する
2.なかなか買われない・・・大丈夫かな(不安)
3.10分経っても買われないから少し戻したら売ろう(不安が増す)
4.時間だけ過ぎて意味ないし、ロスカットしようかな(迷い)
5.でももう少し様子を見たい(現状維持)
6.まずい!(新規急落で焦り)
いかがだろうか。理論的な考え方は当記事で書いてきた内容に近い。
心理的な考え方はどうだろうか。逆張りで買った瞬間は戻すだろうという思いがある。当然だ。そういう考えがあるからこそ逆張りでエントリーしたのだから。
しかしすぐに戻りがないと不安になり、5分、10分と経過すればさらに不安が増す。
ヨコヨコが続けばこのまま当該銘柄に時間を拘束されるよりももっと他の銘柄で効率的にトレードした方が良いと考えるだろう。しかしなかなかロスカットをする勇気は持てない。
結局取るのは現状維持という逃げの一手だ。
そこに勇気を出してロスカットをする者が現れれば安値更新となり、一斉に我先売りが出る。ここで逃げ遅れた者たちはさらに一段、二段と安くなった位置でまた1番からのやり取りが始まる。
結局どこかで思い切った売りが出来ないとエンドレスに続いていくのだ。
リバウンドが入れば攻守逆転となる可能性も残すが、リバウンドさえない時間が続く場合、それは買い方からすれば防戦一方ということになり、とても厳しい時間となる。
では攻守逆転の可能性をどこに見出すのだろうか。
下髭陰線に一筋の希望を見る
上髭や下髭をつけたローソク足というのは反転の兆しということはよく言われる。
だが長く相場を見ていればそんなに信頼の出来るものではなく、たまたまという言葉で処理しても問題ないのではというほどだ。だが一方的な展開の場合に限りこの理論は生きてくる。
例えば一方的に下落が続いていた相場だとしよう。
特に地合いの悪さも相まって下落している場合はなおわかりやすい。
完全に売りの攻撃ターンが続くわけだが、ある価格を境に急に下がっても即戻すような位置が出現する。もちろん毎回というわけではない、全ての銘柄というわけでもない。
ゆえに地合いが悪い時は視野を広く多くの銘柄を監視するといいだろう。
そのためのトレード環境作りは必須だ。
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売られてもすぐ戻る水準に達していても地合いにさらなる悪化があれば一時的にドカッとした売りが出ることもある。しかしそれでもまたすぐにその水準まで戻すのだ。
こうして出来るのが下髭陰線、もしくは下髭陽線だ。
これが10分程度続くと当該銘柄の下値は限定的だという意識が少しずつ多くの人の心理に広まってくる。
地合いの判断を正確に
このパターンは指数がさらに下げているにも関わらず下げ止まったという展開が好ましい。
反対に指数は下げ止まり、地合いが回復傾向にある中でこのように下髭をつけたローソクを連発するようならばそれはむしろまだ売りの攻撃ターンが続いていることを意味する。
地合いが大きく下げた後のリバウンド局面では多くの銘柄が一斉に買われることも珍しくない。
そのタイミングで連動した上昇がないのであればやはり弱いと判断すべきだからだ。
要は多くの銘柄が足並み揃えて下げてきた中、他が下げ続ける中で下髭をつけたローソクを作る銘柄が出てくれば、それこそ指数が下げ止まった頃には大きな反発も期待出来るというものだ。
狭い視野ではなかなか見つからずとも、トレード環境さえきちんと整えておけば地合いが悪化した時、必ずと言っていいほどこの手の銘柄はどこかにある。
トレードという勝負は常に紙一重のようなものであり、少しでも相手を上回るために様々な努力が必要となる。銘柄選びなども当然この努力に含まれる。
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個別銘柄だけでなく、地合いや雰囲気など様々な要素を複合してトレード判断が出来るようになれば勝率も大幅にアップすることだろう。
まとめ
株トレードは野球のように明確に攻守が分かれることはない。サッカーやラグビー、バスケットボールのように一瞬で攻守が切り変わる。そしてそこに面白味もある。
だがよく観察することでどちらのターンになっているのか感じ取ることも不可能ではない。
株式に関する1つ1つの知識や経験はいつか積み重なってとても大きなものになっていく。
是非今回の記事も役立てて欲しい。