専業デイトレーダーは減少一途|相場はAIアルゴリズム時代へ

専業デイトレーダーは日に日に減少し続けている。信用回転無制限となって以降、アベノミクスも絡み合い多くの個人投資家が財を築いた。

しかし上昇が急激ならば下落速度も速くなるのが通例。

2014年には多くの退場者が出たと言われている。専業トレーダーの数はどうなっているのだろうか。

専業デイトレーダーは1000人未満

先日、日経新聞にて掲載された記事に専業デイトレーダーは1000人未満にまで減少したと記載されている。月ごとの取引回数を基準に算出された数字ゆえ、確実性があるわけではない。

ただそれでもそう遠くない数字と考えられるから掲載されているのだろう。

元々デイトレーダーの生存率は5~10%程度と言われ高い数字ではない。

実力不足の者は数か月で退場していくだろう。新たに参入してくる者も多いが、淘汰されていく者も多い。再参入者も多い世界だが、当然再退場者も多い世界だ。

そうして入退場が繰り返される中で本物の実力者のみが残る。

そういう世界だったはずだがここ数年でここに変化があると言う。

実力派デイトレーダーが退場した理由

ここ数年、長きに渡り専業デイトレーダーとして活躍した人も退場していると言う。

相場というのは常に変化し続けるもので、その時その時に合ったトレードをする必要がある。相場に順応するということだ。そうすることでデイトレーダーたちは利益を出し続ける。

長きに渡りデイトレーダーとして成績を残してきた人間はそういう実力があるということだ。

それなのにここに来て退場となるデイトレーダーが増えている。

それはAIによるアルゴリズムの進化だ。

アルゴリズムの進化により、人間の活躍の場は大きく狭められることとなった。

また、退場ということについて改めて考えておきたい。専業トレーダーは預貯金を増やす目的だけでなく、生活費そのものも株式投資の相場から稼ぎ出している。

ゆえに稼げなければ一気に赤字幅は拡大する。

家庭持ちであればなおさら出費は激しいことだろう。仮に勝ち続けることが出来ていても、額が少なければ徐々に生活費で圧迫されていくことだろう。

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大負けすることだけが退場ではない。

先が見通せなくなることで退場する人もいるということだ。

消えていく仕事とトレーダー

AIに取って代わられる仕事という内容の記事を読んだことはあるだろうか。

これから数年後、10数年後、現在人間が行っている仕事がAIや機械に奪われていくという。

例えばレジ打ちなどは従業員の手からセルフレジへと移行しつつある。これが今度はAIによる言わば無人レジとなっていくそうだ。このように人間の活躍の場は消えていく。

高速道路の料金所がETCを導入した時のことをよく覚えている。

この時も職を奪われるとインタビューで話している職員がいた。時は流れ、今はその流れが色んな職業に波及している。今後さらに色んな職に波及していくことになろう。

デイトレーダーも質は違えど状況は似ている。

常に利益を出してきた専業デイトレーダーがAIアルゴリズムに活躍の場を奪われ退場する。図式で見れば同じではないだろうか。なぜ、どうして長年専業デイトレーダーとして活躍してきた彼らがAIアルゴリズムに勝てないのだろうか。AIアルゴリズムにどんな力があるのだろうか。

AIアルゴリズムトレードの力

個人がアルゴリズムを使い始めた背景には、日本の株式市場におけるHFT(高頻度取引業者)の猛威がある。HFTが駆使するアルゴリズム取引は5年ほど前まではミリ(1000分の1)秒単位だったが今はナノ(10億分の1)秒単位で、売り買いを繰り返す。

引用:日本経済新聞

スピード勝負となるようなデイトレーダーからすれば絶望的な文面だ。

以前の東証はスピード勝負になることなどなかった。現在でこそアローヘッドと呼ばれる取引システムで高速売買が行われるが、昔は1つ1つの約定に数秒がかりだったのだ。

思えばあの頃はほんの数秒とは言え考える時間を毎回与えてもらえた。

そういう意味では難易度は今より随分と低い。

アローヘッドになってからもしばらくはそんなに大きな影響はなかった。しかしAIアルゴリズムがここまでスピードに特化した行動を取れるようになった以上スピード勝負は厳しい。

人間のトレーダーは考えてから動く

人間はどうしても考えてから身体が動く。伝達組織上仕方ないことだ。

サインなどを読み取り、瞬時に注文を入れるAIアルゴリズムと同じ土俵で勝てるはずがない。

身体で反応出来るようなトレード技術があったとしても、目で見てから動くという順番は変わらない。人間が目視で認識した頃にはすでにAIの注文は完了しているのだ。

スピード勝負という土俵のデイトレードにおいて、もはや人間は淘汰されたのだ。

人間のトレーダーに求められる進化

人の手で行うデイトレードで勝つためには進化が求められる。

元々スピード勝負を身上としていたデイトレーダーは特に大きな変化が必要な時期だ。

後の先を取るようなデイトレードも厳しくなっている。

極論を言えば人間の思考、感情までを考えられた注文を入れるAIアルゴリズム、その動きを読むことで再度人間がAIアルゴリズムの上に立つことが出来るはずだ。

簡単なことではない。

しかし出来ないことではない。

「もうはまだなり」「まだはもうなり」など先人が築いてきた相場格言がある。

人間の感情が作り上げてきたこの相場格言をもとにAIアルゴリズムも進化してきている。人間の感情を逆手に取るのが上手になっているわけだ。

感情を逆手に取られた人間がどのような行動を取るのか、そしてそれを喰いに行くAIアルゴリズムがどのような注文を瞬間的に出してくるのか。それらを研究していくのだ。

そうすることで活路を見出すことが出来る可能性もある。

また、もう1つの極論もある。

それは動かないことだ。スピード勝負、感情を逆手に取るという進化をしてきたAIアルゴリズムを一発で逆手に取るのであれば、欲しい価格になるのをひたすら待ち、買えたなら株価ボードさえ見ずに放置することだ。

スピード勝負という土俵をこちらから捨ててしまう。

そして人間の恐怖、不安を喰いに来るのであれば、株価を見ないことで抗う。

もちろんこれでは勝ち続けることは難しいだろう。しかしこちらも進化しなければならない状況であることは確実だ。ならば1つずつでも変えていく必要がある。

長年やってきたことを変えるには勇気がいる。

しかしデイトレーダーが減れば減るほど相場の動きも難解になり、さらなるデイトレーダー減少へとつながってしまう。多くのデイトレーダーが進化を目指すことで市場はまた活性化するかも知れない。

AIアルゴリズムに屈する前に自分のデイトレーダーとしての在り方を再構築していきたい。

板読みデイトレーダーは進化の時

特に影響が強く出ているのが板読みを得意とするデイトレーダーだ。

買い板、売り板、歩み値、雰囲気などから数秒先を読み、細かい利益を重ねることを身上とするタイプだ。とてつもない速度で割り込みしてくるアルゴリズムの影響は強い。

さらに騙すような板をあえて出してくるようなケースも多くなった。

以前と同じ板読みの仕方をしていても難しい。

もちろん勝てなくなったわけではない。負けるわけでもない。しかし利益が減ってしまえば先述したように生活費に圧迫されて退場せざるを得ないケースも考えられる。

板読み以外にも武器を作るような進化が今こそ求められる。

売りアルゴの存在を見抜く

売りアルゴと呼ばれるAIによって出される売り注文。この方法が近年ずいぶんと品がなくなってきた。言ってみれば「私が下げると決めたら何が何でも下げます」という雰囲気だ。

しかし裏を返せば至極読みやすい。

人間の心理をうまく突いてくるのだが、かなり同じ手法が使われている。

売りのアルゴリズムが取る戦略について書いてみよう。抽象的表現にはなるが想像して欲しい。

1.大きな売り板を直近に出し、恐怖売りを誘う
2.大きな売り板をムービングさせつつ成行売りで値を崩す
3.大きな売り板を喰わせたり、売り板を薄くし、買い板を厚く見せ、上がる雰囲気を演出
4.小反発を演出
5.以下1~4を下げたい値、目標値に落とすまでループ

実はこの手の大きな売り板、以前は上がることが多かった。恐怖売りを誘った後に一気に大きな売り板を喰い、買い戻しも誘って大きな上昇へとつなげる手法だった。

ゆえに板読みトレーダーなどは不自然なほどの大きな売り板は好んで買う傾向にある。

しかし最近ではそれをすると新たな大きな売り板を出されたり、成行売りで意図的に崩すような動きが目立つようになってきた。さらに小反発を見せ、助かる雰囲気も演出してくる。

そのためなかなかロスカットに踏み切る勇気も出ない。

ホルダー当事者でさえなければ冷静に判断も出来るが、すでに所持している場合、その小反発に夢を見てしまうのも無理はない。人間の心理をうまく利用してくる。

それもデイトレで稼いできたプロたちをもAIアルゴリズムは狙い始めているのだ。

とにかくまずは売りアルゴの存在に気付き、どのような動きをしてくるのか見極めてみるのがいいだろう。同様に買いアルゴの存在もあり、反対の値動きを演出してくるケースもある。

様々なパターンをインプットしておくことが大事だ。

デイトレードは弱肉強食の世界

元々デイトレードは弱肉強食の世界だが、昨日の味方がいつ敵になるかもわからない。そんな世界になっている。AIアルゴリズムだけが勝ちにくくなった要因ではないだろう。

イナゴトレードを行う人も増えた。その場合イナゴたちの体力も考える必要がある。

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しかし考えようによってはチャンスも増えた。

機関投資家などの大口心理を読む、AIアルゴリズムの考えを読み先取り行動をする、イナゴトレーダーの心理を読んで先取り行動をする。などなど選択肢も増えている。

今こそデイトレで勝てなかった頃のように初心に帰ってみるのもいいだろう。

そして現代のデイトレーダー。つまりAIアルゴリズムが進化し、イナゴトレーダーが、殿様イナゴがSNS上に多く存在するようになった今時のデイトレーダーとしての稼ぎ方。

これを改めて目指してみるのもいいだろう。

AIが苦労しながら進化してきたように、人間も進化をしていくことが大切だ。

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まとめ

デイトレーダー人口が減っていくのは単純に稼ぎにくくなったからだ。その反面、潤っている人たちもいる。個人投資家を喰ったデイトレーダーが今まさに喰われようとしているのだ。

どんな世界も弱肉強食。勝てる技術を身に付けて以降、努力をないがしろにしてしまったデイトレーダーもいるだろう。

そんなデイトレーダーたちの反撃に期待したい。

参考までに筆者が登録している投資顧問無料メルマガの中でもよく使う2サイトを掲載しておく。無料銘柄だけでなく、相場概要についても無料で配信されるので重宝している。

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しかしメール数が多く来るため、プライベートメールで登録するのはオススメしない。

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どちらもフリーメールで登録出来、個人情報を入れる必要もないのが嬉しいところだ。