信用余力MAXで取引するだけでなく、現物株も保有し、その現物株を担保に信用余力MAXまで株を買うことを信用二階建てと言う。このような取引には魅力とリスクの両極が存在する。
ポジポジ病になぞらえてフルレバ病と表現されることもある。
筆者自身は二階建て経験はないものの、自身の現金余力を大きく超えたポジションを持ち、大損した経験はある。また、筆者の知り合いにはフルレバにて短期間で億トレになった猛者もいる。
大きなポジションを取る人、常にリスキーな買い方をする人は「自制心がない」「我慢の出来ない人」と言われがちだ。確かにそういう一面もあるかも知れない。
だがそれ以上に大きな才能を持っていると筆者は考える。
本記事では大きなポジションを持つことについて考察していく。
フルレバレッジ取引のシミュレーション
フルレバというのは信用余力MAXまで使う取引のことだ。FXなどは以前は個人取引でも400倍というとんでもないレバレッジをかけることが出来た。
株式投資では約3倍までとなっている。
現物株を持ち、それを担保にフルレバレッジで信用取引を行えば所持金の約4倍近くまで株を買える計算となる。ここでは資金の3倍で取引をするとどうなるのか見ていきたい。
2.2倍になると150万円勝ちで200万円の資金となる
3.200万円の資金で600万円分の株を買う
4.2倍になると600万円勝ちで800万円の資金となる
5.800万円の資金で2400万円分の株を買う
6.2倍になると2400万円勝ちで3200万円の資金となる
7.3200万円の資金で9600万円分の株を買う
8.2倍になると9600万円勝ちで1億2800万円の資金となる
「何を馬鹿なことを」
最初にそう思うのも無理はない。だが株式投資において2倍くらいまでなら短期間でもよくある話だ。たった50万円の資金からでも4連続で2倍になれば1億を大きく超えられる。
もちろん運の要素も必要だろうが、地合いの後押しがあればまぁまぁツキがあるだけで十分可能だ。
これは複利を使ったフルレバレッジのみに許された特権だ。
現物のみで4連続2倍を達成しても50万→100万→200万→400万だから全く違う。
デイトレードでの短期億トレも可能
フルレバで行うトレードはデイトレでも短期億り人の可能性を秘める。
テーマ株やイナゴトレードといったボラティリティの高い銘柄で勝負をすれば1日の値動きだけで相当な金額が動く。筆者の知り合いで短期億り人となった人はデイトレがメインだった。
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ただもちろんリターンあればリスクも当然ある。
このフルレバ取引で下り坂に突入してしまうととんでもない速度で大損することになる。
フルレバレッジ取引で破産する流れ
2.株価が3分の2になった瞬間に破産
こちらもまた「何を馬鹿なことを」と思うかも知れない。
しかし先日も過熱した仕手株が約2000円をつけた後、ほんの1時間弱で約1300円まで下落した。そこで売った場合、上記3分の2という幅を超えてしまっているため、これでは借金が残る計算となる。
このようにフルレバ取引はどこからでも破産することが出来る。
50万円を1億円にする才能は、同時に1億円を一瞬でパァにする才能を保持することになる。
フルレバレッジで取引する勇気と覚悟
このようなリスクを持つフルレバレッジ取引をする人はよく「だからダメなんだ」「何度やれば学ぶ」とバカにされる。何度も退場を繰り返すからそう思われるのだろう。
確かに大失敗をすれば資金が30万円だろうと100万円だろうと1000万円だろうと1億円だろうと1日で破産、借金になるわけだから、皆平等に常に大きなリスクを背負っている。
また、いくら稼いでもゴールが見えない。いや、ゴールがないと言えようか。
いつか生活のために稼ぐのではなく、金を稼ぐために金を稼ぐようになりかねない。
ただ彼らのことを否定する人に聞きたい。
「あなたにその勇気と覚悟がありますか」と。
「そんな必要はない」「やりたくもない」という答えは必要ない。論点はそこではない。単純にその勇気と覚悟があるかどうかだ。当然のことながら筆者には勇気も覚悟もない。
どうしても失った時のことが頭を過ってしまうからだ。常に万が一を考えてしまう。
だが言わばそれが正常なのだ。彼らはある意味で常軌を逸している。
しかしだからこそ短期間で常軌を逸した利益を得ることもまた可能なのだ。
なぜ億トレをゴールとして満足出来ないのか
フルレバタイプのトレーダーは何度失敗しても起き上がる。30~50万程度の資金が貯まればすぐに相場復帰するからだ。そしてそこからでも平然と億の稼ぎをやってのける。
逆に何度成功しても結局最後は破産に追い込まれる人が多い。
なぜ、なぜ5000万円で、なぜ1億円で満足出来ないのだろうか。
見ている側は思うだろう。なぜせめて半分出金するなどの管理が出来ないのか、と。
だが答えは簡単だ。そういう機能が備わっていたらそもそもフルレバなんて出来ない。フルレバでそこまで増やしたのであれば、そのまま稼げるものだと考える。
ならば資金を減らすのはバカげていると感じるだろう。
仮に5000万円の資金到達時、2500万円を出金して確保すれば7500万円もの信用買付余力を失うことになる。そう思った瞬間、出金という考え方はなくなってしまうだろう。
「負け始めたら出金しよう」
こういう考え方になる。
しかし負け始めると上記のように1日というのは滅多にないものの、数週間~数か月であっさりと破産してしまう流れは珍しくない。ゆえに負け始めてから出金するタイミングもなかなかないのだ。
超集中状態ゾーンと流れ
ゾーンと言えば良い意味で使われることが多いが、悪い方にも通ずるものがある。
ゾーンの1つに自分を信じる力もある。彼らは自分の成功を信じて疑わない。だからこそ絶対の自信を持って自分の全力、フルレバレッジで勝負することが出来るのだ。
言わば常にゾーンのような状態なのだろう。
そして負け始めたとしても同様に自分を疑わない。だからこそ負け続ける流れの中で集中して負けてしまうのだろう。これはゾーン状態が抜けないために負け続けるのだと言える。
『流れ』というのは目に見えないものであり、科学的に証明出来るものではない。
ゆえに否定的な見方をする人もいるが、やはり流れというものは否定出来ないと筆者は考える。
株やデイトレードのみならず、競馬、パチンコやスロットにおいても負けがこんでいき、もうどうでもいいから大きな勝負に出ようと考えた経験が一度はあると思う。
実際にその勝負で成功する人など1割もいないはずだ。
負け始めはまだしも、途中から何をやってもうまくいかず、半ばヤケになって脂汗をかきながら勝負を続ける。これも言わば負けゾーンだ。これほど負けやすい環境などない。
お金をお金と思わない
お金のことをゲームセンターのメダル感覚でやるべきだと筆者は何度も考えたことがある。特にコツコツ稼ぐタイプはリスクに怯えすぎる側面があり、この考え方が必要だろう。
ドカン負けが近付いてきた時もゲームセンターのメダルと思えばロスカットも容易だ。
恐らく彼らにとってこの感覚は常時備わっているものだろう。
実は筆者自身もゾーンのような状態となり、お金をお金と思わず、自分を信じ切って数日で3000万円という利益を出したことがある。今思えば少しどうかしていた。
思い返してみても同じことは出来ないだろうと感じる。
数百万円がアップダウンする横で、デイトレの数千円、数万円の損得に一喜一憂していた。これはうまく切り離して考えられていたのだろう。デイトレはお金、スイングはメダルというように。
だが、その後もやはり「もっと、もっとだ」というようになっていった。
途中で自分も止まれないようになっていることに気付いた。
言わば悪い方のゾーンに足を踏み入れかけていることに気付いたのだ。
そこで冷静になって全てを失う前に足を洗うことが出来た。大きく利益は出したものの、最後は2000万円超えの損失を出してやっと冷静になれた。危険な思考だったと今でも思う。
良い流れの時はお金をお金と思わないことでリスクを取ることがプラスとなるが、流れが悪化した時は大事なお金がアップダウンしていることを再認識しないと取り返しがつかなくなってしまうのだ。
信用全力二階建てのトレード
フルレバ以上にハイリスクハイリターンとなるのが現物株を担保として行う二階建てのトレードだ。自己資金の4倍近い金額でトレードが出来てしまうわけだ。
仕手株などでは数日で2倍、3倍となることも珍しくないが、1日、2日で3分の2、半額となってしまう銘柄も全く珍しくない。連日のようにそのような銘柄が出ている。
前述のように50万円の資金からでも3~4回ツケば1億円を手にすることが出来る。
しかしその途中で1回でも大きなロスカットがあればどこからでも破産となるのだ。
ゲームセンターついでに言えば、これはメダルゲームにあるポーカーのダブルアップと同じような手法になる。勝てば2倍、負ければ0というようなシステムだ。
それゆえ、この投資法は『王になるかこ〇きになるか』と言われている。
フルレバ取引はオススメ出来るか
結論から言えば、50万円程度の資金であればオススメ出来るが、資金が多い人にオススメは出来ない。また、50万円程度の資金から始めた場合も増えたらストップして欲しい。
50万円を短期間で1億円に出来る才能と1億円を短期間でなくす才能は紙一重ではなく同一だ。
50万円以下からある程度の資金を確保したい場合、コツコツ数千円ずつ稼いでいては気が遠くなる。そんな思いの人はフルレバ取引を試してみてもいいと筆者は思う。
フルレバは悪という風潮は強いが、株の練習法としては決して悪くない。
ただ、少しずつ買い、無限ナンピンでいつの間にかフルレバになるのはいけない。
そうではなく、自分の信じたポイントで一気にフルレバ取引をするのだ。
これは入る位置を見極める練習になるだけでなく、売らないと次に投資が出来ないため、ロスカットをする決断力を養うことも出来る。利益を伸ばすのと欲との戦いも精神を鍛えられるだろう。
このような環境でトレードをすれば、手に汗握る展開の連続となる。
感覚は研ぎ澄まされていくことだろう。
適材適所を心掛ける
フルレバ取引である程度資金を貯めたらコツコツ型にしようと思う人もいるだろうが、この場合当然考えねばならないのがフルレバを止められなくなる危険性についてだ。
ギャンブルというのは中毒性がある。
投資はギャンブルと言われないが、やっていること、仕組みはギャンブルそのものだ。
ギャンブル要素を取り除いてスクリーニングしていけばコツコツ型のトレードになり、勝率も高くなるわけだが、当然大勝ちする可能性が極端に低くなってしまう。
ギャンブル要素を多分に含んだフルレバ取引はドーパミンを出し、脳内麻薬のような状態になる。
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例えば億をどうしても短期間で掴みたいのであればフルレバを使うべきだろう。
正規収入があり、趣味として宝くじ気分で株をする場合も同様だ。
しかし仕事のように株をする専業トレーダーを目指すのであれば毎日コツコツきちんと安定して勝ち続けることの方が大事になる。その場合はレバレッジそのものをかけるべきでない。
精神面も含め、極力平坦であることが大事だからだ。
自分で銘柄を見つけるのが好きならばトレード環境を整え、多くの銘柄を監視出来るようにすることも必須だ。
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まとめ
どんな手法であっても良いことばかりではなく、悪い部分もある。要は自分の価値観において良いと思う部分が上回る手法を自分自身で選ぶことが最も重要なのだ。
リターンを求めれば求めるほどリスクが高まるということは絶対に忘れてはいけない。
正しい知識を持って自分が求めるトレード手法を取るようにして欲しい。