イナゴトレードというトレード手法をご存知だろうか。今や知名度も高くなり、数も多くなったイナゴトレーダーだが、正しいやり方をしている人は少ない。
イナゴトレードは間違ったやり方をしていると信じられないくらいの速度で退場に追い込まれる。いわゆる養分イナゴという地位になってしまうと即破産もあり得るのだ。
そのため、参入者は増えていても実質的なイナゴの数は減っているのが実情だ。
イナゴトレードの知識をきちんと身に付けてから行って欲しい。
イナゴトレードにおいて重要となる殿様イナゴの見つけ方なども書いていくので参考にしていただきたい。イナゴトレードも厳しい世界だということはあらかじめ言っておく。
登場するイナゴの種類
これからイナゴトレードを説明するにあたり、出てくるイナゴの種類を先に紹介する。
厳密に言えばイナゴの生態系は複雑かつ多種となっており、その説明だけで1記事書けてしまうほどだ。ここでは必要最低限の種類を使い、分かりやすく説明したい。
イナゴのトップに君臨する。影響力がとても強く、メディアなどへの露出がある人もいる。その人が買い推奨をするだけで株価は急上昇する。
殿様イナゴの中にも影響力はピンからキリまでいる。
殿様イナゴが発信する情報を誰よりも早く察知し、初動で買うことに命を懸けるイナゴ。人間業とは思えない速さで買えるため、殿様イナゴとのつながりも疑われる。
イナゴ界の情報弱者。殿様イナゴの情報を知るまでに時間がかかったり、高速イナゴ等からのセカンド情報でやっと気付くことが出来るイナゴ。
気付いてからも躊躇したりしてしまい、株価が上昇し切ってから買ってしまうまさに養分。殿様イナゴや高速イナゴたちのリカクの受け口となってしまう。
イナゴトレードの流れを学ぶ
イナゴトレードとはどういうものなのか流れを説明しよう。
2.高速イナゴたちが一気に買い価格が急騰する
3.高速イナゴや準殿様イナゴ的地位のイナゴが買い煽りを拡散する
4.養分イナゴたちが一斉に買いに来てイナゴタワーが完成する
5.ババ抜きのようにリカクされ、急落して上げ幅をなくす
6.最後までババを持っていたイナゴは退場に限りなく近付く
これがイナゴトレードの大まかな流れだ。殿様イナゴと呼ばれるイナゴが買い推奨をすると、いち早くそれを察知した高速イナゴが買い、価格も急上昇する。
さらに他のイナゴも巻き込もうと殿様イナゴから得た情報を拡散し、多くのイナゴを呼び込む。やっと情報を手にした養分イナゴたちは慌てて飛び付き買いをする。
ここでひと呼吸置いて材料を調べることが出来るようになれば養分化は避けられるが、その材料が本物であった場合は乗り遅れるし、大したことがなかった時はその後買っても意味がない。そのため、この地位にいるイナゴはもはやイナゴトレードをする意味がない。
イナゴタワー完成のタイミング
イナゴタワーというのは本来、稲穂に群がるイナゴが塔のように見えることから生まれた言葉だが、株式投資におけるイナゴタワーもほぼ同じような意味だ。
おいしそうな稲穂(銘柄)に集まったイナゴたちが買い上げることで株価は急騰し、陽線が大陽線となり、タワーのように見える。これがイナゴタワーだ。
ではこのイナゴタワーはどのタイミングで完成となるのだろうか。
動意付くきっかけを作る殿様イナゴの力量によってその大きさも異なるわけだが、殿様イナゴのツイートから大体10分後あたりにイナゴタワーが完成するケースは多い。
殿様イナゴから高速イナゴや準殿様イナゴに伝わり、そこから養分イナゴに広く知れ渡るタイミングだ。10分というのは目安であり、重要なのは伝達速度になる。
イナゴタワーの崩壊
株式投資における格言として、「噂で買って事実で売れ」というものがある。
イナゴトレードに当てはめるのは少々失礼かも知れないが、養分イナゴなどの下位層に知れるまでの間は噂と考えるのが妥当だ。
そして下位層にまで情報が行き届いたタイミングを事実と考えればいい。
一気に養分イナゴたちが群がり、それまでで最高の陽線が出やすくなるポイントだ。
ここで殿様イナゴや上手なイナゴたちは一気に売り抜ける。
そうなると一気にイナゴタワーが崩壊する。慌てて逃げるイナゴたちもいれば、あまりの衝撃的な下落、値動きに茫然自失となって動けない養分イナゴもいる。
そしてここからババ抜きゲームが始まる。
行って来いチャートorイナゴタワーの復活
仮にどこまでも上昇するようなチャートになる場合もいったんはイナゴが振るい落とされる下落は起こることが多い。8割方そのままイナゴタワーが崩壊して行って来いチャートとなるが。
だが稀に再度イナゴタワーを作り、本格的な上昇をすることがある。
これがあるから何度騙され、何度養分にされてもイナゴたちはイナゴトレードを繰り返すのである。一攫千金の夢追人、いや、夢追いイナゴとなるのだ。
行って来いチャートというのは上昇が始まった価格と同じ位置まで株価が急落してしまうことで完成するチャートだ。
1.殿様イナゴが2200円でツイートする
2.高速イナゴたちが2300円まで買い上げる
3.養分イナゴたちが2500円まで買い上げる
4.イナゴタワー崩壊で2300円まで急落する
5.ババ抜きゲームで2200円まで下落する
いかがだろうか。これがほんの数十分で起こるのだから恐ろしい。
初動で即買い出来たイナゴからすれば数分~10分程度で10%以上の利益になり、養分イナゴからすればほんの数分~10分程度で10%以上もの大損失をすることになる。
イナゴトレードには確かに夢がある。
だがこの悲劇的展開の主役にされてしまう危険性があることもきちんと理解して参加することだ。
イナゴの生態系と歴史
イナゴには生態系があり、それぞれが役割を持っている。
今でこそイナゴトレーダーによるイナゴトレードは一般的に知られるようになったが、2013年頃のアベノミクスバブルでは知名度が低いまま多くのイナゴが活躍した。
あえて暗躍ではなく、活躍としたい。
2013年当時はアベノミクスバブル、ゲームセクターバブル、バイオセクターバブルなど次から次へとバブルが起こっていた。
語彙力が疑われそうで心配だが、言わばイケイケという状況だったのだ。
どんな理由でもいい、少しでも動意付けば参加者全員がイナゴのようになっていった。しかもババ抜きのような動きではなく、どこまでも天高く上るイナゴタワーを作る。
この時期のイナゴトレードで億という財を築いた人も多い。
この後バブルは崩壊し、イナゴトレードも衰退していくのだが、この時期に地位を固めた殿様イナゴはその後も強い影響力を持ったままだ。
2017年には仮想通貨、暗号資産バブルが起こり、ここでもイナゴトレードはそこかしこで行われていた。証券取引法もなく、インサイダーのような情報も飛び交った。
養分イナゴの減少とイナゴトレードの衰退
現在、暗号資産バブルも崩壊し、イナゴトレードは知名度こそ上がったものの、その数は減少していると考えられる。やはり夢はあっても一撃死するリスクがあるからだろう。
養分イナゴたちは何回か連続で騙されれば自然に退場に追い込まれる。
殿様イナゴたちは養分イナゴに退場されないよう、言わば生かさず殺さずのような状況を作るのが最もうまいやり方と言えよう。しかし昨今では無慈悲な値動きが多い。
養分イナゴが退場するまでの期間も極端に短くなっているように見える。
コツコツドカンにも気を付ける必要はあるが、イナゴトレードでのドカン負けはインパクトもダメージも極大と言っていいほどだ。
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イナゴトレードの今後
衰退しているのは事実だが、イナゴトレードはなくならないと断言出来る。
日本人はどうしても右へならえの性格を持っているため、周りが買っているのを見るとどうしても欲しくなってしまう。初心者であればきっと飛び付き買いをしてしまうだろう。
ジャンピングキャッチ癖がある人はその急騰がイナゴによるものだと知らないまま飛び付いてしまうのだ。イナゴはイナゴ以外を被害者にすることもあるわけだ。
こういうジャンピングキャッチをする人がなくならない限りイナゴトレードは続くだろう。
もしくはツイッター等での銘柄や証券コードをツイートすることが規制されればなくなるのかも知れないが、そこまでの規制が入ることは現時点で考えにくい。
やはりイナゴトレードの流れをきちんと知り、理解しておくことは重要だろう。
イナゴトレードでの勝ち方とは
イナゴトレードをするのであれば、考えられる勝ち方は大きく2つある。
・高速イナゴとなり、初動で買える技術を身に付ける
このどちらかだ。もちろん両方というのがベストになる。
自分自身が殿様イナゴになれれば最も簡単に勝てるようになるわけで、「どうやれば殿様イナゴになれますか」などという質問板も筆者は見たことがある。
自分で調べることもせずにそんな質問をしているうちはまず無理だろう。
自分自身が殿様イナゴになるというのは現実的でないため、ここでは省略する。
影響力が強く、有名な殿様イナゴのツイートであれば、仮にイナゴタワー崩壊で行って来いチャートを作るにしても上昇時間は他よりも長くなりやすい。
そのため欲さえ制御出来ればリカク出来るチャンスも長くなるだろう。
まぁこの欲を制御出来るのであれば最初からイナゴトレードなどしないだろうが・・・。
もう1つは高速イナゴの技術を身に付けることだ。
殿様イナゴのツイートを即座に察知し、初動で買いを入れられるようになればこれも理論上そう簡単には負けない。むしろ大きな利益を狙うことも出来る。
恐らく一般の個人投資家、個人デイトレーダーからすればこれが最も現実的な路線だろう。
殿様イナゴの探し方
まずは自分自身でツイッター等のSNSアカウントを持ち、よくツイートを観察することだ。
SNS上でのつながりを考えながらトレーダーのツイートをハシゴしていくことでつながりや影響力も自然に見えてくることが多い。
それが難しく面倒だと言うのであれば、イナゴタワーのようなものを見つけたらその銘柄の証券コードや銘柄名をヤフーのリアルタイム検索にかけてみるといい。
タイムラインにその銘柄についてのツイートが出てくる。
そこから殿様イナゴにたどり着けるはずだ。
また、殿様イナゴはツイッターの中だけにいるわけではない。
有料投資顧問が発信する情報が発端でイナゴタワーが出来ることもある。これは我々が知ることは出来ない。情報が洩れてくることもまずないだろう。
また、投資顧問が運営する無料メルマガだけでもイナゴタワーが出来ることもある。これも登録者しか知ることが出来ない。
全ての有料投資顧問情報を網羅するのは完全に無理がある。
しかし無料メルマガの類であれば網羅することも全く難しくない。
イナゴトレード目的だけでなく、そこに急騰が起こりイナゴタワーが出現した理由を知ることはデイトレをする上で重要だ。知らずにトレードするのは不利になる。
少しでも多くの情報量を得て、養分イナゴにならないためにも無料メルマガへの登録や殿様イナゴたちのフォロー、高速イナゴのフォローまでしておきたい。
筆者も複数の投資顧問から無料メルマガを受け取りデイトレに生かしている。
参考までに筆者が複数登録しているうちのメルマガの中でもよく使う2サイトを掲載しておく。無料銘柄だけでなく、相場概要についても無料で配信されるので重宝している。
しかしメール数が多く来るため、プライベートメールで登録するのはオススメしない。
無料メルマガ専用のアドレスを作っておくのがいいだろう。
どちらもフリーメールで登録出来、個人情報を入れる必要もないのが嬉しいところだ。
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高速イナゴの技術を身に付けるには
どんな世界にもプロはいる。不可能と思えることをあっさりやってしまうプロがいる。
殿様イナゴがツイートをしたほんの数秒後、すでに買っている高速イナゴもいるのだ。
プログラミングやシステムトレードなどを駆使している人もいる。
殿様イナゴのツイートをAIに任せて監視する。ツイートがあった瞬間にそれを通知させる。即座に買いサインとしてアルゴリズムが注文を入れる流れを作っている人もいる。
そこまで出来ずとも、ツイートを察知して通知させることくらいは多くの人が出来る。
筆者の周りにもイナゴトレードを極めるために努力に努力を重ねた人がいた。実際にイナゴトレードで億を掴むまで上り詰めたのだが、並大抵の努力ではなかった。
また、毎回スピード勝負になるのは確実なため、インターネット回線は理論上最速という環境を常に整えておかねばならない。
今で言えばマンションタイプの光回線はNGで、マンションに住んでいようとも一戸建てタイプの光回線契約をすることで速度と安定を確保する必要がある。
言わずもがな、ここまで環境を整えて初めてスタートラインに立てるのだ。
トレード環境の整え方はこちらの記事を参考にして欲しい。
勝ち続けているデイトレーダーはトレード環境を整備している。デイトレ環境を整えることは勝ち組トレーダーの必須条件だ。 トレードルームを始め、トレードツール、インターネット環境など、デイトレをするための環境の正しい作り方を書いていこうと思[…]
この世界で戦い抜く覚悟があるだろうか。
イナゴを極めれば勝てると安易に考えていなかっただろうか。
無論、試してみることに反対はしない。何事もやってみることは大事だ。
ただしやるのであればイナゴトレードの世界も厳しい世界であり、努力をたくさんする必要があるということ。負けても殿様イナゴのせいにしないこと。
全て自分で責任を持ってチャレンジして欲しい。
イナゴトレーダーとして成功しようとも、失敗に終わろうともその経験は必ず次に生きる。イナゴトレードのために整えたトレード環境は他のトレードにも使えるだろう。
登録した無料メルマガでは銘柄を定期的に配信してくれるため、デイトレをするための旬な銘柄を探さずとも自然と知ることが出来る。
是非色んなことにチャレンジしてデイトレーダーとしての自分のベストな生き方を見つけて欲しい。
まとめ
イナゴトレードの流れからイナゴトレードのやり方、殿様イナゴの見つけ方までまとめてきた。イナゴトレードをするならば環境が大事になることもおわかりいただけただろう。
筆者は全くスピード勝負に向かず、あっさりと高速イナゴを諦めざるを得なかった。
しかしその時に得た知識、ツイートを察知して通知させるやり方の設定は今でも覚えている。
インターネット環境は今も最速だ。投資顧問から来る無料メルマガは毎朝読んでいて、新規銘柄をデイトレで生かすことが出来ている。経験は無駄にならない。
やらずに悔やむよりやって悔やむ方がいい。
ただし無理だと感じたらサッと引いて次のことにチャレンジすることも大事だ。
人生におけるロスカットも重要ということだ。自分に合った道が見つかることを願う。