インターネットが広く流通して以降、情報商材と呼ばれる商品が世に多く出回るようになった。売っている商品のジャンルも本当にたくさんあり、タイトルを見ると魅力的なものが多い。
しかし情報商材屋は多くの人から煙たがられる存在でもある。
情報商材の中身とは一体どんなものなのか。売っている人はどんな人なのか。
なぜ業者が嫌わられるような世界かなど、情報商材関連について書いていきたい。
情報商材にはどのようなものがあるか
情報商材とは文字通り情報を商品の材料としたものであり、形を持たない。
多くはダウンロード形式を取り、pdfファイルなどで作られた著書に近い商品だ。
・好きな人を必ず落とせる口説き方のような恋愛指南書
・絶対に痩せられるダイエット方法
・営業で大成功するための話術
・投資で誰でも大儲け出来るトレード術
などなど、タイトルだけで見たら本当に夢のような情報が並んでいる。もちろんこれが本物であればの話だ。残念ながら情報商材で購入者が満足する割合は著しく低い。
しかしそれでも返金などの形はほとんど取られない。
読者がいったん目にした瞬間にその価値を全うする商品の性質上、返品や返金が難しいからだ。
情報商材屋とはどのような人か
意外かも知れないが、情報商材そのものを作っている人、情報を提供しているのは普通の一般人であるケースが多い。業者から依頼されて執筆するケースが多くなる。
1つの分野において周りのより多くの知識を持っていればそれはもう情報を持っていると言える。
普通の人があまり経験しないことを経験したことがあればすでに商品を脳内に持っているようなものであり、あとはそれを執筆するなり形にすれば立派な情報商材となる。
言ってしまえば専門職ではない人でもこのような形で商材を作ることが可能だ。
それゆえ中身については当たりハズレの差が非常に激しいものとなってしまっている。
筆者の友人に会社都合で退職となった人がいる。その時に失業保険の効率的なもらい方についての情報商材を2万円少々で購入し、結果的に数十万円予定より多く給付された。
彼は商材の中身に感謝し、大満足とのことだった。
きっとこの情報商材を作った人は何らかの形で法律に携わったことがある人、もしくは自分自身が失業を経験し、失業保険を得るために勉強して知識を詰め込んだのだろう。
そしてその知識を情報商材に生かしたのだ。
情報商材屋が嫌われる理由とは
先ほどの失業保険の件についてもう少し考えたい。
確かに彼は内容に満足し、想定していた金額を大きく上回る失業保険を受け取れた。
しかし同じく失業保険のことについて知りたくて同じ商材を買った人の中には不満を持つ人もいることだろう。書かれている内容を自分が使えるかどうかまではわからないからだ。
ニーズとマッチングするかどうかは読んでみるまでわからない。
かと言って立ち読み、試し読みのようなことが許される商品ではない。
そして何より商品そのものが高額である点が挙げられる。
値段も情報精度もピンからキリまであるが、1点あたりの平均はおよそ2万円程度だ。2万円と言えば書籍で考えると10~15冊分程度の価格になる。
それでいて情報量(文字数を基準)は書籍1冊分よりも少ないだろう。
ここから多くの人は「楽して〇〇をするための情報」という考えに行き着く。
楽して成績が上がる、楽して痩せる、楽して仕事が出来るようになる、楽して稼げる。
楽して〇〇しようとする人自体も嫌われがちだが、楽して〇〇しようとする人をカモにして楽に稼ごうとする人たち=情報商材屋というイメージでつながっていくのだ。
投資関連商品は稼げるのか
先述のように情報商材というものは質においてもピンからキリまである。
それに自分自身の必要とする内容とマッチするかどうかも重要なポイントだ。
例えばデイトレードの勝ち方を知りたいのに投資は業績分析をすることで勝てるという商品を購入しても何の意味も持たないだろう。
チャートの形や分析方法から勝ち方を探っている人が株はメンタルが重要だから精神面をコントロールするためにああしよう、こうしようという情報を得てもまた無意味だ。
投資関連商品が本物かどうか以前に、自分が必要な内容と商材の内容が完全に一致しているかどうか調べてから買わないと大損になってしまうことは注意が必要だ。
投資関連商品の内容とは
挙げていくとキリがない話だが、大きく分けると3つある。
・チャート分析からサインを出すようなインジケーター
・AIアルゴリズムなどの自動売買システム
勝てる投資手法やロジックの情報商材というのは、製作者が勝ってきた経験を基に、どういうやり方で利益を出してきたか、その歴史がたくさん書いてあるものだ。
だが株式投資においては2013年、仮想通貨、暗号資産においては2017年など、とてつもなくイージーモードだった年に利益を上げた実績により作られた商品もある。
そんなイージーイヤーでの実績手法を買ってもほとんど意味はない。
インジケーターや自動売買システムにおいては、最初から製作者によってサインがインプットされているものもあれば、購入者自身でロジックを入れねばならないものもある。
サインがインプットされていたとしても勝てるとは限らない。
勝てたとしてもいつまで使えるかわからない。
購入者自身でロジックや行動を指定するものであれば、そもそも購入者自身に勝つためのロジックがなければお話にならない。全てを網羅する商品などあろうはずもないのだ。
投資関連情報商材の実例
2013年、バイナリーオプションという投資商品で大きな利益を上げ、名を世間に広めたトレーダーがいた。彼は分野を広げ、株式投資にも手を出し、大成功を収めた。
1億まではいかずとも、それに近い財を成すことに成功したのだ。
しかしその後ちょっとしたミスをきっかけに坂道を転げ落ちた。
まさに大損する人の特徴そのものに一番下まで転げ落ちたのだ。
こちらの記事を参考にして欲しい。
株で大損した人を何人も見てきた。退場者を何人も見てきた。億を掴んでから破産に追い込まれた人も見てきた。そして筆者自身も株で大損をした経験者である。 株で大損する人の流れ、特徴とはどのようなものだろうか。 株[…]
完全に破産した彼に残ったのは知名度だけだった。そこに情報商材を販売しないかという誘いが来た。少し迷いながらも目先の金、目先の勝負資金が欲しかったため承諾した。
数か月の制作期間を経て、情報商材は発売された。
瞬く間に売上は伸びた。そして彼の元には数百万円の収入が入った。
数か月の制作期間はかかったものの、過去に勝っていた手法、ロジックを書き記しただけで数百万円だ。彼の知名度がモノを言ったことは間違いない。
だが彼自身、勝てなくなっていた、連敗街道まっしぐらとなっていたわけだ。
世間はそのことを知らない。
いや、厳密に言えば知ろうと思ってきちんと調べれば不調であることくらいはわかったはずだ。だがそれをせずに買ってしまう人の方がやはり多い。
彼のその後だが、商材を売って得た金はもちろん投資に消えた。
その後違った商品を販売するも、売上は長く続かなかった。
そしてその売上金もまた投資に消えていったのだ。
今では真面目に働いているものの、生活費を除いたお金は全てハイリスクな投資商品で勝負を続けているらしい。時に数百万円を稼ぐものの、やはり最後はなくなるまで勝負をしてしまう。
賞味期限切れ商品も多い世界
情報商材の方に着眼点を戻そう。
彼が売った商品
・過去に通用したが現在では通用しなくなった手法やロジック
・今でも利益を出し続けてるかのように錯覚させる売り込み
・販売業者が彼の知名度を利用するために作らせたもの
そう、彼が1億近く稼いだというのは紛れもない事実だが、現在はどうにもこうにも勝てない人となっている。全く通用しなくなったそのロジックを高額で売っていたのだ。
「今も利益を出している」という嘘は書いていないものの、販促ページはそのように錯覚するには十分過ぎる文言が散りばめられているものだった。
そしてこれは彼自身が計画したものではなく、業者から依頼を受けて作成したものだった。
恐らく業者は彼が不調でお金がなくなっていたのを知っていた。
そして知名度は抜群というのも知っていた。
それを利用して情報商材を売り込みたいという販売業者と、目先のお金が少しでもたくさん欲しいという彼の思惑が完全に一致した格好となる。
そしてその犠牲となったのが彼のことを今もすごい人なのだろうと思い込んだ人々だ。
完全に賞味期限切れ、いや、消費期限切れとなっていた彼の手法を多くの人が高額で購入した。
noteを使った情報商材の出現
昨今ではnoteというサイトを使って誰でも簡単に情報商材を作ることが出来るようになった。
pdfファイルの作成などという知識がなくとも、無料ブログを書く要領で簡単に書けてしまう。実際に人気になるnoteも多く、やはりこれもピンからキリまであるという印象だ。
誰でも簡単に作れるようになったことで、優秀な情報を持ちながらも形にする術を持たなかった人たちの参入も期待出来る。ゆえに使える情報も増えることが予想される。
だがその反面、今まで勝てなかった人、負け組だった人でも経歴を装い、簡単に情報商材が作れるようになってしまったとも言える。それだけではない。
これは実際に筆者が見た例だ。
『10年間負け続きだったトレーダーがついに勝てるようになった秘訣』
少し言葉は変えたが、このような有料note商材が売っていた。
このnote作成者はトレードブログをずっとしていた人で、勝てずに悩み続けていたのを筆者は見て知っていた。少し勝てるようになったと思えばいきなり情報商材屋に舵を切ったのだ。
筆者は購入していないので中身への言及は避ける。だがこれだけは言える。
10年間も負け続けたような人から、たった1年、2年の実績しかないような人から何を学ぶというのだろうか。この情報商材の中には投資にとって最も大事なことは書かれていないと断言出来る。
それは投資に正解などなく、今勝てているとしても明日勝てる保証などないということ。
そして勝ち続けるためには努力と修正を続ける必要があるということ。
これがわかっていない人だからこそたった1年、2年の実績で全てをわかったような情報商材を作ってしまうのだ。
誰でも簡単に情報商材が作れるような時代だからこそ、購入者側の選択はさらに重要となる。何かに頼りたくなる時は必ずあるし、頼ることは決して悪いことではない。
だが、誰かに頼る時は、その時こそは本気で相手を選別するようにしよう。
悪い売り手は買い手の弱い心につけこむ狙いがある。
良い売り手がどうかの判断をするためにも心をフラットにして選別しよう。
筆者の考える商材の判断材料
参考までに筆者が株で勝てない立場であり、情報商材に頼るのであれば何を判断材料とするか記載する。
・作成者が今も勝ち続けている現役トレーダー
・「これを読めば勝てる」などの煽り文句がない
上記3つは最低条件という気持ちで商材を探すことだろう。もう一度言う。この3つは最低条件だ。
他にも判断出来る材料はある。商材を売っている人は自身のブログやTwitterなど他のSNS媒体を持っている場合が多い。文章には人柄が出る。内容を読んで人柄を判断することも重要だ。
「いつから勝てるようになった人なのか」、「良い人」か「嫌な人」の判断くらいは容易に出来る。
現役時代に3冠王を取った人が優れた監督、コーチになるとは限らない。反対に現役時代に大きな功績を残せなかった人が名監督、名コーチとなることもある。
「自分が出来る」ことと「教える」ことは全く違うのだ。
「教える」ことが上手な人か、教えることに向いている人かどうかも文章や人柄から判断することが出来るだろう。
使える投資商品もある
全ての投資商品がこのように消費期限切れのものなのか、詐欺まがいの商品なのかと言えばそういうわけではない。中にはきちんと丁寧に作り込まれたものもある。
すでに販売が終了してしまった商品ではあるが、5日株トレード法という商品のロジックを使って利益を出している人は非常に多かった。
販売者が丁寧にアフターフォローしていたのも印象的な商品だ。
それぞれ製作者、販売者が違うため、『情報商材』というひとくくりで物事を見るのは良くない。中には本当に世のため人のためを思い情報を作った人もいるだろう。
そんな投資商品に当たることさえ出来れば満足出来ることもあるかも知れない。
消費者の不満が絶えない理由
投資関連の情報商材というのはお金に直結するものばかりだ。
人間の欲の大半を占める金銭欲。ここを満足させるのはただでさえ難しい。
しかも高額出費をしてまで購入した情報だ。かなりの優良情報を期待しての購入だろう。
だが投資という性質上、100%というものはどこにもない。
確実な手法やロジックなどはどこにもないのだ。
長い目で相対的に見れば100%に限りなく近付くロジックならばあるかも知れないが、短期で見て、ほんの数回、数十回の試行回数において完璧なものなどは絶対にない。
それでも購入者は短期での結果を求めるだろう。
・複雑な設定も可能で優秀な自動売買システムを購入するも入力方法の難しさに不満
・商材を使って利益を出すもショック相場のようなイレギュラーで損失を出して不満
販売側が一切、手を抜かずに作成し、きちんとその商材を使って利益を出している人がいても、使う人によっては上記のように不満につながってしまうことになる。
これが投資の性質だ。それゆえ消費者側で考えると残念ながら優良情報に出会える確率は低いと言わざるを得ない。
どんなに低質な商材でも使う人によっては化ける可能性もあり、どんなに優秀な商材でも使う人によってはクレーム案件商品になってしまうということだ。
無料で出来る努力は全てする
この記事を読んでいるということは少なからず投資関連商品の情報商材に興味をお持ちのことと思う。買うことを止めたりはしない。当たりを引く可能性も0ではないからだ。
だがその前に無料で出来る努力は全てしてきたのだろうか。
デイトレで、株式投資で勝てない中で、勝てるようになるための努力はどのくらいしただろうか。
有料商品に頼る前に出来ることは全てやったと自信を持って言えるだろうか。
トレード環境はきちんと整備しただろうか。
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当サイトは全て無料で読むことが出来る。
あなたが今、株で勝てていないのであれば全ての記事に目を通してみて欲しい。
それだけの努力をした人であれば、今後もそのくらいの努力が出来る人であれば、買ってみるのも面白いと言える。情報商材との相性も悪くないように思える。
ただそのような努力をしてきていない人が『楽に』株で勝つために情報商材を求めるのであれば絶対にやめた方がいい。
そういうタイプは優秀な商材であってもうまく使いこなせず不満につながる危険性が高い。
ならば有料情報を買う前に自分で出来る努力を全て試してみるのが得策だ。
まとめ
情報商材の歴史は長い。友人のように有益な商材と出会えた人もいるだろう。一時期一世を風靡した彼のように消費期限切れの情報商材を売ってしまう人もいるだろう。
お金が絡むと様々な感情が複雑に絡み合い、うごめいていく。
簡単に人に頼り、何かあったら他人のせいにするのではなく、まずは自分で出来ること、無料で出来ることに全力で取り組んでみて欲しい。
そして一時的に勝つような情報ではなく、長く勝ち続けるためのロジックを自分自身で築き上げて欲しい。