銘柄惚れに隠されたメリット|差金決済もデメリットばかりではない

銘柄惚れというのは株式投資において特定の銘柄を好きになってしまい、どうしてもその銘柄を追って買うようになり、売れなくなってしまうことを指し、良くないと言われている。

仮に下がりそうという場面でもなかなか売ることが出来ず、ここで買ったらジャンピングキャッチになって損をしてしまうかも、という場面でも置いていかれることを嫌い買ってしまう。

そんな悪とされる銘柄惚れだが、筆者はデイトレードの成長過程においては有益だと言い切る。

銘柄惚れは時としてデイトレーダーの成長を促す武器となる。

本文にて詳しく解説する。

筆者の銘柄惚れ体験

筆者が株を始めた2006年当初、スロット出身ということもありIPOは激熱という考え方が根強くあった。新装開店扱いだ。実際にそれまでのIPOは激熱だったというデータも目にしていた。

しかし100万円を超えるIPOも非常に多く、なかなか手が出せるものではなかった。

通常の銘柄で負け続け、どうせ負けるのであればIPOにチャレンジしようと思った。

150万円近い初値をつけた後、ズルズル下がって100万円付近まで。買いたい!と強く思うも買いそびれ、120万円付近まで反発した。そこで次こそ買おうと決意をした。

100万円を割れ、98万円あたりで購入。しかしそこからズルズルと落ちていった。

ナンピンをしても下げ止まることはない。入金してまで2回目のナンピンをした。

結局46万円までのお付き合いだ。そこから108万円まで戻すことになるのだが、筆者はこの間に回転売買をし、全くと言っていいほど損失補填が出来なかった。

それだけではない。108万円から再び50万円まで落ちるのだが、この間は見事なまでに持ちっぱなしで大被弾している。負けようとしているのではないかというくらい見事な負け方だ。

差金決済を考え行動が遅れた

デイトレードでは信用取引がメインとなった昨今、差金決済というものを知らない人も多い。

差金決済というのは現物取引において同一銘柄を売買出来るのは資金枠の中で1回だけというもの。

100万円の資金で50万円の銘柄を買おうとした場合、1回買って売って、再度買って売る。そしたらもうその日その銘柄はおしまいだ。他の銘柄を売買することは可能となる。

これはまだいい。大きな問題は持ち越していた場合にある。

100万円の資金で50万円の株を2つ持っていた場合、2つ売って2つ買い戻した場合、なんとその日はもうその株を売れなくなってしまうのだ。どんなにピンチになろうが売れない。

売るためにはさらに100万円入金する必要がある。

見苦しい言い訳に見えるかも知れないが、この差金決済により筆者の判断は相当に遅れたと考える。

1回の狙い撃ちというプレッシャー

会社名にも惚れてしまい、その銘柄で絶対に利益を出そうと誓っていた。

そのため、いつでも持っていたいという考えになっていた。

買ってすぐに大きな含み損を抱えたことでそう思わざるを得なかったのかも知れない。

常に全力近い資金を使ってその銘柄を持っていた。ファイナンス掲示板などで回転売買自慢をしている人がいるのを見て、自分もやってみようと考えた。

そうすることで価格は同じでも持てる株数が増えるという狙いだ。

しかしこれが大きな悲劇を招いた。

1日1回しかトレードチャンスがない。そう思うと自然と決断は先送りになった。今こそ売りだ!そう思っても「もっと後に大きなチャンスがあるかも」という思いが邪魔をする。

やっとの思いで売れたとしても、その後にもっと大きな問題がある。

買い戻しの難しさ

そう、買い戻さなければならないのだ。

これがまた難しい。買い直した瞬間、その日の作業は全て終わる。どうあっても売れないため、出来ることがなくなると言った方が正しいだろうか。

回転売買の意味を成すためにも自分が売った価格よりも安く買い直す必要があった。

1ティック下で買い直したところで当時の手数料は高く、マイナスとなる。2ティック、3ティック下で買い直したところでほとんど意味はない。

そう考えれば考えるほど多少の下落で買い戻すことは出来なかった。

それなのに反対に値上がりが始まるとカーッとこみ上げてくるものが自分の中にあった。

「置いていかれるわけにはいかない!」

今日中のどこかで必ず買い戻さなければならないという思いが強いと少しの上昇、作為的な急騰に反応せざるを得ない。結局当面の最高値付近で買わされるケースが多くなった。

回転売買によって資金に余裕を作るどころか、いつの間にか3株買えた資金から2株しか買えなくなった。

銘柄惚れの大きなデメリット

恐らく最後の部分こそ最大のデメリットだろう。

その銘柄へ思い入れが強くなってしまうと、どうしても自分が持っていない時に上昇するのが許せなくなってしまう。自分も絶対にその恩恵を受けたいと思ってしまうのだ。

これはデイトレにおいても同じだ。毎日同じような銘柄を売買していると、気付かないうちにごひいき銘柄というのは出てくる。相性が良い銘柄が出てくるのはとても良いことだ。

だがごひいき銘柄となると話は違う。

気付けば吸い寄せられるようにその銘柄の値動きを追ってしまう。それは銘柄惚れに近い。

こうなると急騰にすぐ飛び付くようになる。まるで猫だ。猫キャッチだ。

その銘柄が動けば飛び付かずにいられない。そして何度も何度も騙し上げに付き合わされ、毎回のようにロスカット。挙句の果てに煮え湯を飲まされ過ぎて本物の急騰時には薄利撤退。

もはや勝てる要素は0に等しい。

少しでも当てはまる部分があると感じたら銘柄惚れを疑って欲しい。

思い切ってその銘柄を監視銘柄から外すのもいいだろう。チャンスは、銘柄はいくらでもある。固執する必要などどこにもないのだから。

チャンスはいくらでもあるを合言葉にするためにもトレード環境の整備は必須となる。

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ここまでを読めば銘柄惚れが悪とされる理由が十分におわかりいただけるだろう。筆者自身も銘柄惚れは大損への入り口になると今でも思っている。だがそれだけではない。

銘柄惚れにはわずかばかりのメリットもある。

今、筆者がデイトレで勝てているのはこの銘柄惚れ経験があるからだとも言える。

銘柄惚れのメリットについても紹介しよう。

銘柄惚れのメリットとは

銘柄惚れをするとその銘柄の値動きを追うようになる。とにかく追う。持ち越していて売って買い戻し、差金決済ゆえにもうその日は何も出来ないとしてもとにかく追う。

筆者も例外ではなく、これでもかというほどに特定銘柄の値動きをずっと見ていた。

自然と日経平均、先物、マザーズ指数、ヘラクレス指数、ジャスダック指数、同業他社などの値動きも同時に見るようになっていった。そして値動きを予想し続けた。

経験を積み、徐々に予想は当たるようになっていった。

だがそれでも先述のように1回しかチャンスがないという事実が重石となり、どうしても判断の先送りが災いし、回転売買は一向に上達する気配さえ見えなかった。

どんなに負けようとも惚れた銘柄の値動きを見るのは楽しく、お金がなくなっていく苦しさが紛れるほどに値動きを追うことに熱中していった。

上がる!下がる!しばらくヨコヨコかなど常に予想をし続けていた。

経験は嘘をつかない

数か月に渡り実際の収支とは関係ない予想を続けていた。確実なデータを取っていたわけではないが、予想の当たりやすいタイミングと外れやすいタイミングが分かれてきた。

先に外れやすいタイミングだが、これは順張り予想の時だ。

もちろんひいき目に見てるという余計なバイアスがあったことを加味せねばなるまい。

だがそれを加味したとしても精度は低かった。上がる!っと思った時、確かに少しは上がることも多かった。だがその直後に崩れるなど、騙し上げを見抜く力はなかなかつかなかった。

しかしその反面、下落時の逆張り予想はかなり当たるようになっていた。

少し下がっただけで戻ると予想するわけではなく、きちんと待つことで反発があることを知った。スロットに当てはめてみれば天井を狙うという手法はいけるのではないかと考えた。

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ここに期待値があるのではないかと強く思うようになった。

学んだ知識ではなく、実体験として得た知識だけに自信はあった。

理不尽な上昇と下落の比率

数か月のウォッチでよくわかったことは、理不尽な上昇と理不尽な下落を比べると、理不尽な上昇の方が多いことだ。株価が上がりやすいと言っているわけではない。

指数が上がっているから上がった、指数が下がっているから下がった。

決算が良いから上がった、決算が悪いから下がった。

これは理論的な株価のアップダウンだ。

だが突然意味もわからず火柱をあげることがある。いわゆる大口買い、仕手化、イナゴトレード、投資顧問情報などだ。この上昇は後からも理由を掴むことは困難だ。

様々な人をツイッターでフォローし、最低でも投資顧問の無料メルマガなどは網羅していないとほとんどは理由なき上げ、理不尽な上昇として処理するしかない。

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理不尽な上昇は行って来いチャートになるケースが多いわけだが、時にそのままビタッとストップ高に張り付くまで一気に上昇してしまう。これがあるから騙し上げに毎回引っかかるのだ。

少し上がっただけで「もしかしたら」という気持ちが出てくる。

トレードを仕事として長く続けるのであれば「もしかしたら」は極力排除せねばならない。

だが一度そういった上昇を目にするとどうしてもその光景は脳裏に焼き付いてしまうだろう。筆者が銘柄惚れしていた時、買い戻しが毎回のようにジャンピングキャッチとなってしまっていた理由もまさにこれだ。

ほとんどが騙し上げと思いつつも、置いていかれるかも知れないという感覚がどうしても頭から離れなかった。

オチとして、今回もどうせ騙し上げと思って思い切ってスルーした時にそのままストップ高に張り付かれてしまった。そしてそれ以降はさらにジャンピングキャッチ常習犯となった。

小反発が起こる確率は非常に高い

理不尽な上昇が行って来いチャート、もしくは一気のストップ高となりやすい反面、少しおかしな下落であってもそこには小反発がかなりの確率で起こる。

落ちるナイフは掴むなという株式格言はあるものの、狙っていた銘柄が思っていた以上に安く買えるとなれば一定数は買いに走る投資家がいるだろう。

ゆえにところどころで小反発が起こる。

ここにスポットをあて、小反発のタイミングを予想し続けた。微調整を繰り返しながら数か月ウォッチを続けていくと、最後の方にはかなりの確率で読めるようになっていた。

ポイントとしてはチャートや板で読むよりも、〇分前の株価から数分で〇%下落した場合、ディスカウントさからお買い得と思う人、悲鳴を上げるホルダーはどのくらいいるか。

このような心理的な部分を強く考えるようになったことだ。

自分が〇円で買っていたら今どのような感情になっているだろうかと強く考えた。

もちろん自分自身でもスイング分を持っているため、感情移入は簡単に出来た。

銘柄惚れによる変化

銘柄惚れで1つの銘柄に固執することで利益が出せることはあまりないだろう。よほど良い銘柄と出会えていたなら別だが、多くはその値動きに翻弄され、回転売買で損をしてしまう。

だが、銘柄惚れは悪いことばかりではない。

今回ご紹介したように、1つの銘柄の値動きを数か月に渡りウォッチすることにより、指数の重要さ、連動銘柄の存在、要所要所で起こる人々の心理面の微妙な変化。

これらが少しずつわかるようになるからだ。

筆者が今、こうしてデイトレーダーという職業を続けていられるのはこの銘柄惚れで大損した数か月間があったからこそだと言い切れる。この期間がなければとっくに退場していただろう。

筆者は後がなくなり、退場が視野に入ったタイミングで、どうせ退場するならこの数か月の経験で得た経験、感覚に従ったデイトレードを試してみようと考えたのだ。

そしてその考えはズバリ的中した。数か月にも渡り検証したことで自分の考えを素直に信じられるようになっていたため、下落時も恐怖なく入れるように成長していた。

そしてこの法則、感覚は他の銘柄にも当然通ずるものがあった。

そのため、自然と勝てるロジックを構築することが出来ていたのだ。

そういう意味ではこの期間になまじ勝たなくて良かったと結果論ながら言える。

まとめ

銘柄惚れをすることで持ちっぱなしでもその銘柄の値動きに集中することが出来れば、値動きの勉強が自然と出来る。筆者はそういう目的で持ち続けていたわけではないが、結果的に勉強が出来ていた。

毎日9時~15時まで集中して市場を観察することだけでも立派な努力となっていたようだ。

同じようになるとは限らないが、銘柄惚れも悪いことばかりではない。

そう思える内容ではないだろうか。

参考までに筆者が登録している投資顧問無料メルマガの中でもよく使う2サイトを掲載しておく。無料銘柄だけでなく、相場概要についても無料で配信されるので重宝している。

しかしメール数が多く来るため、プライベートメールで登録するのはオススメしない。

無料メルマガ専用のアドレスを作っておくのがいいだろう。

株マイスター

株株

どちらもフリーメールで登録出来、個人情報を入れる必要もないのが嬉しいところだ。特に株マイスターの配信は相場概要についてかなり詳しい解説がありとても有用だ。