デイトレードと言えば1日の中で買いと売り、もしくは売りと買いという順で売買を完結するトレード手法を言う。だが持っている時間軸の長さについては人それぞれ違う。
そして手数の多さもまるで違ってくるものだ。
手数が多いデイトレーダーと少ないデイトレーダーはどちらが上手なのか。
度々目にする話題であるが、結論から言えば全く議論に値しない。だがそれでも多くの場面で比較される内容だけに本記事では手数の多さと実力についての関連性を筆者が経験したことも踏まえて書いていく。
本記事を自分自身のデイトレの手数、時間軸はどうあるべきか再考する機会にしていただけたら幸いだ。
トレーダーが手数の多さや時間軸で比較される理由
トレーダー、特にデイトレーダーは手数の多さをよく比較される。自分がもっと上手くなるための手数は多くあるべきか検証するのはいいだろう。時間軸を見直すのもいい。
しかしそうではなく単純にどちらの実力が上か計るために比較される。
冒頭部分で書いたように議論する価値などない。
それなのになぜ比較してしまうのか。
デイトレーダーは自信家が多い
デイトレーダーは異常なまでに自信家、そして負けず嫌いだ。恐らくほとんどの人に当てはまる。それは勝てない人であっても同じだ。自信がないと思っている人も恐らく自信家だろう。
負けている人は上手くない。言ってしまえば下手だから負け続ける。
しかしそれを指摘され、アドバイスを受けると急に心境は変わる。「自分は自分の考えで試しているんだから黙っていて欲しい。まだ自分は上手くなっていく過程の中にいる」となる。
世の中には多くの余計なお世話がある。
だが本当に親身になって心配してくれる人の話でも聞く耳を持とうとしない負け組トレーダーは多い。もちろん筆者も例外ではなく、負けながらもよくわからない自信を過去には持っていた。
アドバイスする側もされる側も自信の塊ゆえに親切心によるアドバイスから喧嘩に発展するケースも多い。
トレード日記ブログで負けている人に対して「こうするといいですよ」というアドバイスが入り、「そんなこと言われる筋合いはない」という流れを何度も目にしてきた。
親切にアドバイスをしているのに、という感情もわかる。
だが考えてみよう。人にはそれぞれ目的がある。
例えばお金は十分持っていて、株は趣味で楽しみなんだという人もいるだろう。長期投資で財を築いていて、デイトレは面白いから負けても続けているという可能性もある。
最近は負けているものの過去にデイトレで大きく勝ち、お金持ちという可能性もある。
相手の目的や立場を理解しないままアドバイスをすることの愚かさを知り、本当に親切心からアドバイスをするのであれば相手のプロフィールから過去の投稿全てを読んだ上で行うようにしよう。
その日のデイトレード収支や株のトレード内容をブログで報告しているデイトレーダーは多い。上手な人もいれば、まだ未熟ながら自身の上達のためにブログを書いている人もいる。 また、トレーダーの多くはそんなトレード結果を書いたブログをよく探して[…]
にわかに勝ち出した駆け出しデイトレーダーが資産数千万円~億トレーダーにアドバイスするというおかしな図式を実演してしまわないためにも。
誰よりも上手くありたい
自信家であると同時に誰よりも上手くありたいという願望を持っている人も多い。だが実際に上を見るとキリがない。億り人を達成したところで10億、100億と勝ってる人もいる。
そこで次に出てくる願望はこれだ。
『誰かより上手くありたい』
これは非常に危険な感情だ。上を見ればキリがないように、下を見てもキリがない。どんなに勝てないうちでも自分より下手を探せばいくらでも見つかることだろう。
そうやって下を見つけてマウントを取っているといつの間にか自分の立ち位置が実際より上に錯覚してしまうことがある。せっかく誰よりも上手くありたいと向上心を持っていたものが薄れてしまうのだ。
誰かより上手いことで腹は膨れない。
誰かにマウントを取ったところで虚栄心が満たされるだけであり、実力は上がらない。それだけでなく実力をアップする機会を根こそぎ奪ってしまう。
デイトレで勝てるようになるためにはまずその見栄を捨て、自分の弱さを受け入れる必要がある。
筆者の体験談から見るトレーダーの性格
株関連、投資関連サイトを長く運営していると時々絡まれることもある。筆者自身も昔面白い絡まれ方をした経験がある。筆者の元へ突然メールが届いたのだ。その内容は以下のようなものであった。
初めまして!今まで勝手にライバル視させてもらっていました。先月ついにあなたを超えることが出来ました。是非僕のブログを見て下さい。今後もお互い頑張っていきましょう。
リンクが貼ってあったため、彼のブログを見に行ったのだが、含み損は持ち越して成績に計上せず、含み益になったものだけリカクをして成績に計上していた。
100万円の含み損を持ちながら他で100万円のリカクをしたら100万円勝ったという表現をしてしまうタイプだったのだ。その月はリカクした額が筆者を上回ったようでメールをしてきた。
投資スタイルも違えば目標や義務も違う。また、事前に勝負をしようと言われたのであれば力の入れ方もまた違うかも知れない。終わってから突然の勝負してました宣言。
彼がなぜ筆者と勝負しようと思ったのか、なぜ筆者と比べて熱くなっていたのか。
それはわからない。ただこの一連のやり取りでわかったことは、彼が関わってはいけないタイプの人間であるということだけだ。それ以外に何の価値もないやり取りであった。
筆者が負ければ彼が儲かるというのならばわかる。
だが相手に勝とうが、相手が大損しようが自分の状況は変わらない。
宣言した後の真っ向勝負であれば男と男の意地の勝負であり、一定の価値を見出すことは出来るかも知れないが、この例においてはその価値さえもなかった。
彼は他にもこんなことを書いていた。
Aさんはトレード回数100回超えで5万勝ち。私は5トレードで5万勝ち。だから私の方がレベルが上だ。
実にくだらない。そんなことは関係ない。5万勝ちは5万勝ちで同じだ。トレード回数100回超えで5万勝ちの方は確かに1回ごとの利益は少ないだろう。だがそれだけ勝率が安定していることになる。
5トレードで5万勝ちの方はうまく利益が伸ばせていることは認める。
だが展開次第では一気にマイナスになる可能性もあるわけで、中身まではわからない。
無論、本記事のテーマのように筆者と彼、そしてトレード回数100回超えの誰かはそれぞれ手数も時間軸も違う。
そんな違う土俵で相撲を取っても勝負などつかないはずなのだ。
相手の立場になってみないとわからないことは多い
もう1つ面白い例がある。筆者は以前、このようなアンケートに協力してもらったことがある。
2.100万円を1000万円にする
3.1000万円を1億円にする
1番は30万円を超えるまで信用取引が使えないわけだが、そういう部分は抜きで考えるものとする。
アンケートの結果は3→2→1という答えが圧倒的に多かった。
1000万円を短期間で1億円にするのであれば、複利という考え方が絶対必要になる。失うリスク、恐怖に打ち克つことが出来ない人はこの時点で即アウトという案件だ。
複利という考え方をするには税金の源泉徴収なしの方がメリットは大きい。だがデメリットにも注意が必要だ。
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2番に関してもそれなりのリスクと恐怖に打ち克つ必要がある。
対して1番は失うものがない。ある意味で大胆な勝負をすることも出来る。
10万が50万に、80万になったところでそれは変わらないだろう。
実は筆者も3番こそが一番簡単だろうと思っていた。しかしそれは持たざる者が外野から予想していたからに過ぎなかった。失うリスクとの戦いは想像以上に厳しいものであった。
今なら断然1番の難易度が低いと言うだろう。いや、1番がまだ現実的という言い方が正しいだろうか。実際には1、2、3番それぞれに難しさがあり、これも土俵が違う。
このようなアンケートを考えた過去の筆者こそ、最も愚かだったのかも知れない。
真実と幻想の違い
もう少しこの話を続けたい。このアンケート、実は選んだ理由も書いてもらっていた。
10万円を100万円にしようと頑張っている人、100万円を1000万円にしようと頑張っている人たちだ。1000万円を1億円にしようとしている中級者、上級者は回答者にいなかった。
なぜ1000万円を1億円にするのが簡単そうに感じたのか。
・それだけの資金があればデイトレとスイング両方で稼げるはず
・分散投資で安定して勝てそう
・資金は多い方が断然有利だと思う
・1000万以上あれば操作のようなことも出来ちゃいそう
批判したい気持ちはいったん抑えて欲しい。冷静に考えればイメージとしては共感出来る部分も多いのではないだろうか。筆者自身は口座が500万を超えたあたりから急にスランプとなった時期がある。
確かに自分の買いで株価を押し上げることも出来た。
複数銘柄に分散投資をする余裕もある。
資金は多い方が有利であるとも思っていた。
だが、時に相場は1日を通して一方通行に動く。下げ一辺倒の日に複数銘柄を同時に所持し、その全てをナンピン対処していたらどうだろうか。気付けばフルレバで下落相場。
信用余力MAXで取引するだけでなく、現物株も保有し、その現物株を担保に信用余力MAXまで株を買うことを信用二階建てと言う。このような取引には魅力とリスクの両極が存在する。 ポジポジ病になぞらえてフルレバ病と表現されることもある。 […]
その日に全てを決済するデイトレードであってもフルレバレッジで負けるのであればいくらでも負けられる。
筆者は一度このフルレバ状態のピンチで資金量の20%近くを失った。
1日あたりの平均勝ち額の約40倍であった。順調にいっても40連勝しなければ取り戻せない金額を1日で負けたのだ。これを機に臆病な心が育ち、リスクを取れなくなっていった。
このように想像、妄想は幻想に過ぎず、現実的には各々と器で精神面がパンクしてしまう金額が設定されている。まさに真実と幻想の違いだ。
手数と時間軸から見るデイトレ結果
これは結論から言えば相場による。
参加者が多い相場ではアップダウンが激しくなる。そのため、長く持つよりも手数を増やし、とにかく何度も何度も同じような価格帯で利益を重ねていくのが効率的だ。
ボックス相場と呼ばれる動きであれば何度もチャンスをモノに出来る。
ボックス相場時に時間軸を長く持っていても利益が大きくなることはない。
逆に参加者が少ない相場では押し目やリバウンドが少なくなるため、一方通行になりやすい。こうなるとアップダウンで取る狙いよりも買い価格の狙い撃ちをし、長く持つ方に分がある。
また、国策銘柄やテーマ株などが多く出てくると値動きが激しくなりやすい。
テーマ株、この言葉はよく覚えておいた方がいい。いずれあなたに爆益を、とんでもない幸福をもたらすことになるかも知れない銘柄たちのことだからだ。 テーマ株というのは時代ごとに多くの億り人を生み出してきた。 そして崩壊時には多くの退場[…]
さらに初動で乗れれば大きな値上がりも期待出来る。
このようなケースでは、初動で買った分を長く粘りながら短期分を回転させて利益を積むことが理想とされる。相場によってはどちらかを使い、相場によっては両刀使いとなる。
これは理想論だが、これが最強であることは疑いようがない。
どちらの手法であっても勝ち続ける人、負け続ける人がいるわけであり、手法や考え方そのものに優劣はつけられない。結局は使う人の実力、心がけ次第と言える。
自然に対応出来る努力をする
筆者は以前、激しく1日に何度もトレードするスタイルだった。
しかし2013年のアベノミクス期には長く持った方が有利になる日も多かった。そこで途中から長持ちスタイルに変化させることで大きな利益を手にする日も増えた。
その後下落期に突入するとまた手数は多く、すぐにリカクするスタイルに変わった。
そして2016年、フィンテック相場、自動運転相場、民泊相場など多くの国策、テーマ株が出現した。これは活況になりつつも視点が目まぐるしく変わる相場であった。
ゆえに上昇相場でありながらも手数を増やすことでその優位性を高めることが出来た。
このように相場と毎日向き合いながら自然とスタイルを変えていくことが大切だ。筆者はすぐに反応出来るわけではないため、まだまだ努力が足りないと言える。
どちらが上かという話は全くもって議論に値しないという意味がわかっていただけるだろう。
どうしても比べたいのであれば、両方出来る人が一番ということだ。
「どちらが」という考え方をしている時点でまだまだということがよくわかる。
適正ロットで適正勝負を
手数や時間軸を論ずるのであれば適正ロットについて考えるべきだろう。
例えばチャンスと感じるものの、確信が持てない場面ではロットを落として介入する。これは大きなチャンスと確信出来た場面ではロットを大きくして時間軸を長く取る。
それでも恐怖心があれば大きなロットで介入し、短時間で半分リカクし、残りの株数で粘る。
などなどロット管理が出来れば手数や時間軸の調整も出来るようになる。
筆者の体験談にあるように自分のキャパオーバーとなってしまうようなロットを持ってしまえば過去の経験や実力は何の意味も成さず、どんな天才でも一瞬で凡人へと成り下がる。
手数や時間軸、そしてロットにおいても自然に増えるのが理想だ。
自然体で多くのことを出来るようになることこそ上達と言えよう。
そのための努力を日々惜しまないようにしたい。
まとめ
デイトレードにおける手数や時間軸、ロットについての考察をまとめてきた。いずれにおいてもどうあるべきかというより、その時その時に取るべき行動に自然と対応出来ることが大切となる。
筆者は雰囲気を感じることによる直感トレードを推奨している。
雰囲気で株をやってはいけない、なんとなくでトレードをしてはいけない。よく言われることだ。大負けしたら「そんなやり方してるからだ」と言われても仕方ないように思える。 しかし本当に雰囲気で株をしてはいけないのだろうか。 「あなたはど[…]
感覚で柔軟に対応出来るようになればそれは頭で考えて行動するよりも素早く動けるということになる。デイトレの勝敗が常に紙一重であるならば、相手より一歩速く動くことはとても重要だ。
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自然に動けるようになるには多くの知識と経験が必要になるだろう。
だがそれをマスターすれば一気に道は開けるはずだ。
日々の努力で一歩一歩前に進んでいこう。